お菓子屋さんを開業するにあたり、製菓衛生師を取った方がいいのかと考えたことはありませんか?
でも本当に必要なのか、受験する場合は独学でも取得できるのかわかりませんよね。
今回は昨年製菓衛生師の資格を独学で勉強して取得した私が、どんな人に必要か、受験資格や難易度など製菓衛生師の試験について解説します。
これを読めば自分にとって製菓衛生師が必要かどうか考えることができますよ。
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製菓衛生師とは?
製菓衛生士とは
国家資格で製菓技術や衛生知識が身についていることの証明となる資格です。
「調理師」のパンとお菓子版と言えるでしょう。お菓子屋さんになりたいと思った時に耳にすることのある資格だと思います。
私は独学で2019年6月に取得しました。
取得する必要性は?
製菓衛生師を取得するメリット①
就職や転職の際に有利になります。
ホテルのパティシエや、大手で働くには必須条件となっていることが多いです。
そのため製菓専門学校は「製菓衛生師」を取得することを目標にしているところが多いです。
製菓衛生師を取得するメリット②
海外でパティシエとして働きたいときも製菓衛生師の資格はビザの取得に有利になります。
私のように個人でお菓子屋さんをやるのには必須ではありません。
私の周りで会社を辞めてお菓子さんをはじめたという人は取っていない人が多いです。
私は有名店に行きたいわけではなかったので必要ではありませんでしたが、異業種からお菓子屋さんになったので衛生に関して知識を補いたいのと、勉強して取得することで自分に自信を付けたいと思い受験しました。
受験資格
- 1年以上養成施設に通学する
または
- 2年以上の実務経験
養成施設というのは都道府県知事が指定する施設で、いわゆる製菓専門学校のことです。取得のためのカリキュラムになっているところもあるので受験しやすくなります。
実務経験というのは菓子製造業を持っているところで2年以上実務経験を積むこと。原則として、週4日以上かつ1日6時間以上の勤務時間が必要です。
受験の際は勤務先の店長や代表の方に就業していたことの証明書を書いてもらうことが必要となります。
試験対策については教えてくれる人がいないので、全て独学になるでしょう。
参考までに私の場合は自分で開業したお菓子屋さんが2年経ったときに受験しました。
自分の開業したお菓子屋での実務経験になるため、証明してくれる店長や代表者がいませんが、自分で自分の証明は認められず、客観的に証明してもらう必要がありました。
かなりイレギュラーで事務局の人も困惑していましたが、その場合は同業者(菓子製造業の許可を持っているところの代表者)から証明書を書いてもらうことで認めてもらうことができました。
菓子製造業の許可を持っている知り合いはあまりいなかったのと、簡単なお願いではないため、同業者に書いてもらうというのは大変でした。
試験内容
試験内容は
「衛生法規」
「公衆衛生学」
「栄養学」
「食品学」
「食品衛生学」
「製菓理論及び実技」
の6科目からの出題です。
全て4つの選択肢の中からひとつ選ぶマークシート方式です。
内容は幅広く、普通にお菓子を作っていても触れたことのない分野も多いです。食中毒に関することや、関連の法律なども含まれます。
具体的には井戸水を使う場合はどんな検査をしてどんな基準をクリアしないといけないかとか、保健所が全国にどのくらいあってどんな役割を果たしているかとか、普段かかわりがなく初めて聞く内容も多かったです。
「実技」は実際にお菓子を作るのではなく、実技に関する知識をマークシートで答えます。
洋菓子、和菓子、パンから選んで、「この材料でできるものは何か?」や、「この配合で作るクリームの名前は?」などの、おかしづくりに関する問題でした。
難易度と合格率
製菓衛生師試験の合格ライン
100点満点中、原則として概ね60点以上。
国家試験の難易度としては、やや易しく、合格率も例年70~80%前後と高くなっています。
合格通知が来てからは健康診断を受け、管轄しているところに申請をして資格を付与される形になります。
受けた感想としてはすごく難しいことはないけれど、範囲が広くすべてカバーしきれていないと感じながらの受験だったと思います。
働きながら独学で勉強する方法
私は参考書を買って、仕事の合間に勉強しました。
参考書の内容をまとめて問題集を解いて、足りない知識を補っていくようにしましたが、範囲が広く、本当に出題されるのかわからず心配になったものです。
受験資格のところで説明した通り、私はすでに自分でお菓子屋さんを開業していましたので、受験資格である実務経験は積むことができました。
もし一般企業に勤めていて働きながら製菓衛生師の取得を目指すのであれば、受験資格を満たすために夜間や通信制の製菓専門学校に通うのがいいのではないでしょうか。
製菓衛生師が必要かどうかはやりたいことから考えて
私は以前から製菓衛生師について知っていて、こういう仕事をするなら持ってる方がいいと思っていました。
しかし資格を持っていた方がよかったという場面はこれまで仕事をしていて一度もありません。
本当に必要かどうかというのは、自分がどういう所で働きたいかを考える必要があります。
大きいところで働きたいという目標があるとかゼロから修業したという場合は取ったほうがいいと思います。
個人で何かやりたいという場合は、正直問われることはありません。
自分がお菓子を買う時に、「この人資格持ってるかな?」とか考えませんよね?
私の場合は自分の知識を補ってくれるという意味でいい勉強になったので、取得して良かったと思っています。
製菓専門学校に行かなかったため、製菓専門学校ではこういうことを学んでるんだなというのがわかったし、栄養学を改めて学んだ時に、お菓子で栄養を摂ることが当たり前だけど難しいというのを深く実感しました。
そういうことからさらに栄養学の勉強をするようになり、夢見菓子を低糖質・低カロリーに変えるきっかけになったと思います。
知識は何か壁にぶつかった時に、乗り越えるためのヒントを与えてくれることもあるので、基礎知識に不安があるとか、専門学校には行けないけど勉強したいという人は一度受験を検討してみるのもいいかなと思います。