開業記録

【特別公開】著者と編集者の座談会 〜出版するには?〜 全文書き起こし

9月11日に発売した、低糖質スイーツのレシピ本「シンプルな材料だけで美味しく作れる低糖質の焼き菓子」。

発売を記念して、9月18日に「著者と編集者の座談会 〜出版するには?〜」をオンラインで開催しました。

このイベントは、本の出版に携わっていただいた秀和システムの編集者・今村さんとの座談会。

テーマは「出版するには?

出版に至るまでの経緯、出版するまでにどんなプロセスがあるのか、お金のこと、どんな企画なら本になるのか?

など、レシピ本出版の「裏側」とも言えるテーマについてお話ししました。

好評だったこちらの座談会の様子をブログ読者様へ特別にお届けします。

「いつか自分の本を出してみたい!」と考えている方は必見です。

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はじめに

編集者の今村さん(左)と著者の山本(右)
レシピ本発売記念

著者×出版編集者 特別座談会

テーマ:出版するには

山本蓮理(著者。以下、山本):では、始めたいと思います。よろしくお願いします。

今村七海(編集者。以下、今村):今日は「シンプルな材料だけで美味しく作れる低糖質の焼き菓子」出版記念の座談会でございます。どうぞよろしくお願いします。

山本:ということで、テーマなんですけど、「出版するには」というのが今回の大きなテーマで、お互いに経緯だとか、実際どうだったのかっていう話をまとめてきた感じで話 をしたいと思います。私が著者の山本蓮理です。そしてこちらが編集者の…

今村:今村と申します。よろしくお願いします。秀和システムというパソコン系の本が強い会社ではあるんですが、こういうレシピ本とかも出したりしています。元々、私はパソコンとかは全然出来なくて、エッセイとか自己啓発書、ビジネス書、あとは料理も興味があるし、やってみたいなというところで、実は、秀和システム入ってからレシピ本作り始めました。今日は質問など、何か気になることがあれば遠慮なくお願いします。

出版に至るまでの経緯

山本:では、最初のテーマ。出版に至る経緯というのからお話しします。なんとなくこれまでの二人の会話の感じから皆さんお気づきかもしれないんですけど、簡単にいうと元々知り合いというか、友達だったというのが種明かしです。
知り合ったきっかけは、2015年の宣伝会議というところが主催していた「編集ライター養成講座」。そこに二人とも通っていました。私はちょうど会社を辞める直前で、ライターになるかお菓子屋さんになるかを迷ってたんですね。その時にとりあえずやれる事をやろうっていうことで通ったのがこの講座。その時に同じ講座に…

今村:そう。私も通ってて、私も会社辞めようとしてました。当時は出版とは全然関係ない仕事してて、でも、編集の仕事いきたい。とりあえずなにかやりたい。そこで出会ったっていう感じですね。

山本:私もフリーでライターになれるのか?みたいなところで色々迷ってる時に出会って。講座が終わってからも私が音楽やってたから、ライブ来てくれたりとか、飲みに行ったりとかしてました。

今村:だから、私は蓮理ちゃん(山本)がそもそもお菓子屋さんじゃなくて、普通に会社員からライターをやっていたり、お菓子屋としては何も実績ないところから始めた頃から知ってます。

山本:そしてその後、私がお菓子屋さんになり。

今村:私もちゃんと書籍の編集になって…

山本:話は2020年に飛びます。ここからなぜ本を出すことになったかというお話をしますね。去年コロナで、私個人事業主なんで、持続化補助金っていうのがあるんですね。「新しい事業のために必要なお金のうち、四分の三を国が負担します」っていう補助金です。
その補助金を取るために自分で事業計画を立てるんですけど、自分がお菓子を作ったりしてる中で、何か新しい事業としてできることって何かあるのかな?って考えた時に、レシピを販売するのってどうなんだろうと思ったんです。最初は有料のnoteか、自費出版みたいなもので資金を出してもらえるんだったら可能性があるんじゃないかと思って、それを事業計画に盛り込みました。

今村:それをちょっとツイッターで呟いたんだよね。

山本:そうそう。計画しているときに呟いたら、見てたんだよね?

今村:ツイッターで事業計画を書いていて、来年ぐらいに出版したいなぁ…っていうのを彼女が呟いてたんですよ。それで、あ…!興味あるんだ。と。私もその時に低糖質関係なくお菓子のレシピ本作りたいとは思ってたんけど、そもそもお菓子売ってる人が、自分自身のレシピを販売してくれると思ってなかった。公開したら商売に差し障りがあるじゃない?

山本:そうですね。でも、私それ言われるまで分かんなくて…どっちにしても、自分が製造用に作ってるレシピをそのまんま書くっていう発想が元々無かったから。

今村:そんな感じの思惑の違いはあったりしたんだけど、やりたいんだったら興味ある?っていうところで、私は当時、産休育休の最中だったんですけど、話を聞いてみて、実際に市場とかちょっと調べて…復職したら出来たらいいね。みたいに…

山本:って言ってたのが、去年の…2020年の6月、7月とかでした。それで今村さんが産休復帰したのが今年の4月。

今村:そうそう。今年の4月に戻ってきて…ちょっとその前に、打ち合わせして、「本当にやる?やるならどうしようか?」みたいな話をしましたね。で、実際復職してから本格始動。

山本:つまり、もともと知り合いで、私の事業計画に編集者としての今村さんが反応してくれて、今に至ると。これが経緯です。

今村:そうだね。私も調べてみて、「低糖質お菓子、本当に本にできそうだな…。市場がありそうだな…」っていう決断ができたので、出版に至りました。

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どんな企画なら本になるのか

山本:私たちはそういうちょっとイレギュラーな経緯で出版に至ったのですが、では、実際にどんな企画なら本になるのか?というテーマに移りたいと思います。なんとなく私が素人目にイメージがあるのは、出版社自身が企画するっていうのと、持ち込みみたいなのがイメージにあるんですけど、やっぱそういう感じですか?

今村:そうですね。まず、企画のスタート段階において、大きく分けると二つあります。今、仰った通り、一つ目は出版社が企画を立てて、それに合わせて著者を探して、オファーを出して書いてもらう。もう一つは、著者側からの持ち込み。厳密にいうと、出版エージェントを通したり、プロデューサーを通したり。そういうのもあったりしますけど、それも含めて、著者側からの提案で出版に至るというのがあります。

山本:私それちょっとびっくりして。そういう持ち込みってちゃんと読んでくれてるんだなぁ…って思って…。出版社に、「私の本出したいです。」っていう企画書を持ち込んで、読んでもらって、やりたいと思う編集者がいたら手をあげるみたいな感じ?

今村:うちの会社の場合は、著者になりたい、企画を持っている人のためのビジネスパートナーという窓口がまずありまして。まず企画書をそこに送ってもらって、そこから編集者全員にメールで、企画書や送られてきたものが流れます。それで、興味がある人がいたら、手をあげるっていう形です。

山本:すごい運じゃないですか?たまたまその企画に乗れる編集者が居たかどうかもあるし、その企画自体の良し悪しもあるし、どっちも合致した時に初めて持ち込み成就するみたいな…

今村:まず、大前提として、企画書がしっかりしている、企画自体がしっかりしているっていうのがあるんだけど、多分持ち込む先の出版社を間違えちゃうと、残念ながら身にならないっていうこともありえます。だから、秀和システムにレシピの本を持ち込んでくる人は、正直少ない…。でも、たまにあります。あと、パソコン系の企画はパソコン系の強い出版社に出したり、自分が「こういう本出したいな…」と思ったら、近しい出版社に企画を持ち込んだり…っていうケースがあります。商業出版としては、大きくその二つですね。あと、もう一つは自費出版があるんですけど、自費出版っていうのは、基本的に自分で全部お金を出して、本を作って、書店に流してもらえるようなものもあれば、あとは勝手に自分で販売してっていう…

山本:自費出版を出版社に持ち込むの?

今村:自費出版をやってる出版社っていうのもあるのよ。

山本:え?それ出版社はなにをやるんですか?

今村:お金をもらって編集したり…

山本:なるほど!

今村:あとはやっぱり、個人で印刷所とかに依頼する時に、自分のワード原稿から本の体裁にして、一冊の本にしてっていうノウハウはさすがにないじゃないですか。その部分を、出版社がお金をもらって代行する。それで商品として提供するっていう…

山本:えー。いくらかかるんだろう…

今村:色々…笑

山本:めっちゃお金かかりそう…

今村:そう。自費出版はきっとお金がかかると思います。でも、やりたいようにやるんだったら自費出版。でも、今回みたいに商業出版として、じゃあ「どんな企画なら形になるの?」「どんな流れで本になるの?」っていうとその二つですね。版元から声がかかるか、著者側から企画を持ち込むか、大きく分けて二つです。

山本:なるほど。

山本:持ち込みの場合、編集者がチェックするポイントはどこですか?

今村:やっぱり、持ち込んだ企画が、どんな企画でも形になるっていう訳ではなくて。私たちがどんなところを見てるのかというと、まず、企画自体の中身がしっかりできていて、類書(同じジャンル)、この本で言えば、数あるレシピ本の中でも、まず、低糖質っていう差別化のポイントがあって、さらにその中でもいくつか特徴があると。そういうポイントがあると、まず可能性があるかな…っていう判断をして。そこからさらに、実際にレシピ本を買ってくれる人、低糖質に興味がある人ってどれぐらいいるのかな?っていう市場の調査ですとか、刊行までにどれくらい時間かかるかな?っていう判断。
今、旬なテーマを三年後に出したいって言われても、ちょっと売れるかどうか分からない。時期だったり、あとは著者自身の実績だったり、実際、このジャンルの本ってどれくらい売れているのか?っていうところを参考にしたりしますね。それで、行けるなって踏んだら、企画会議にかけてみたりっていう感じですね。

山本:持ち込まれた企画のうち、どのくらいが実現するんですか?

今村:これはだいぶ難しい…笑

山本:企画書とかもだいぶレベルの差がありそう。

今村:やっぱりありますね。

山本:例えばA4一枚とかで出されても困りませんか?

今村:A4一枚でもしっかりしてれば気にはなるし、何枚も何枚もあってもよく分からないみたなものはやっぱり難しい。だから、企画自体の強さをちゃんと確立して、それをきちんと伝えられるような形にできているか?っていうのが一番大事ですね。だからもし、企画の持ち込みを考えている人たちが居たら、とりあえず、周りの人たちに見てもらうっていうのがいいと思います。

山本:なるほど。「こういう本読みたいって思う?」みたいに聞いてみるんですね。

今村:編集者にじゃなくても、何言ってるか分からないってなったらダメじゃないですか。

山本:確かに。

今村:ざっくりいうとそんな感じです。強い企画なら形になる可能性があります。

出版するまでのプロセス

山本:じゃあ、次のテーマです。今回の出版するまでのプロセスっていうのを話したいと思います。どういうスケジュールで本を作ったかっていう話。時系列でいうとこんな感じです!

<今回の出版するまでのプロセス>

  • 2021年4月 出版に向けて動き出す「5月までに30個以上レシピ作って」
  • 2021年5月 掲載レシピ出揃う、社内の企画会議に通って刊行決定
  • 2021年6月 仮原稿決定、撮影、制作
  • 2021年7月 初校確認
  • 2021年8月 再校確認、予約開始、校了(全ての作業を終え印刷所にデータを入れること)
  • 2021年9月 発売

今村:ふわっと話をしたのは結構前だけど、実際に動き出したのは今年の4月くらいでした。

山本:私は4月生まれなんですけど、誕生日の何日か前に「誕生日だからゆっくりしよう」と思ってたら、急にね、「本作るぞ!!」みたいなラインが来て、最初に「本出せたらいいね」から結構時間があったからびっくりして心臓がバクバクしたの覚えています。

今村:最初に話した時は私は産休中だったので、実際にいつ復職できるかが決まってなかったんですよね。

山本:そうだね。だから私も「いつか叶ったらいいなー」くらいにのんびり構えてて。急に「職場復帰決まった!本作ろう!」みたいなのが来て、急に「はぁ!!??」ってなって、それが4月の頭で。今年こういうことやろうかなぁ…ってふわっとしてる時に、いきなりでかいものが来て…。

今村:とりあえず、秋くらいに出せたらって話してね。だいたい半年くらいあればできるっしょ!みたいな感じで…。

山本:すぐに仮のスケジュールが送られてきたんだけど、最初に言われたのが「とりあえず5月までに、30個くらいレシピを作って」。その時点で4月だから5月まで一ヶ月ちょっとでしょ?しかも、夢見菓子は年内で母の日が一番忙しいんですよ。で、やばいと思って。だから実質一ヶ月ないくらいで、30個作るっていう。そこからは毎日が試作の日になりました。
夢見菓子で販売しているお菓子がケーキで11種類、クッキーで4種類とかあるからそれで15種類あるでしょって思うかもしれないんですけど、これが大違いで。夢見菓子で販売しているお菓子は、スーパーで揃う材料とか、本のコンセプトになった「卵は1個単位で書く」とかで作ってないから。卵とかも全部グラムで量って作ってるから、結局うちで販売している商品っていうのは、何一つそのまま載せることができなくって…

今村:レシピの相談を投げた時点で、条件もある程度つけたんだよね。「スーパーで買えるものだけ」「なるべく簡単に」「ご家庭で作れる」とか。

山本:ってなったら、あれ?うちで販売するレシピって、結局全部載せられないんだな…って。つまり、30個まるまる書き下ろすっていう状態になりました。3年やって販売している商品でさえ15種類しかないのに、30個新しいの作ると。

今村:あ…無謀だったね…ごめんごめん。笑 ぶっちゃけ2ヶ月あればいけるかなと思ってたから…ごめんなさい。

山本:その時までは新しいレシピをあんまり編み出すタイプじゃなかったんですね。今から考えると信じられないけど。

今村:そうやって蓮理ちゃんがばたばた、4月、5月まで「うわぁ…どうしよう…」って、一生懸命レシピを考えている間に、私も会社で企画会議を通したり…それが4月、5月かな?それで、正式に企画会議で刊行決定になったのが、5月だったので…もし、落ちてたらレシピ全部ボツになってたってことですね。

山本:そうそう。私は「これ、通らなかったらボツになるんだな。」っていうのを最初あんまりわかってなかったんだけど。笑 本の企画を通すためにまずはレシピを作らなきゃいけなくって、それで大枠を作って出版社の企画会議を通すっていう流れだったんだよね。今村さんは同時並行で会社に通すための企画書を作って、私はレシピ作って…みたいなのが4月、5月くらい。5月に企画会議と通ったから刊行できるよって言われた時には、もうレシピは揃ってる状態だったかな?

今村:そうだね。でも今回これは秋に出したいって逆算したら…。ごめん…めっちゃ被っちゃったっていうのが正直あります。

山本:本当は?もうちょっと?

今村:うーん。でも、やっぱり会社によるかな…っていうところではあるんだけど。

山本:でも、最初にレシピ30個作らないといけないのは一緒だよね?

今村:企画書の段階では、「だいたいこんなレシピを載せる予定です。」っていうのが欲しかったんです。だから、数としては30個くらい。その中でも、第一章はガトーショコラとチーズケーキ何種類、パウンドケーキ何種類、シフォンケーキ何種類、クッキー何種類…こういう感じになりますっていう…企画書としては大体それぐらいわかっていればよかった。でも、スケジュールを逆算すると、掲載するレシピ内容も同時期に揃っていないと厳しくて…「作っていこう。絶対企画は通すから」っていう感じでした。それで、5月に企画通った時には掲載レシピも全部揃ってたよね?

山本:そう。母の日の前には3分の2ぐらいは作って、母の日が終わって残りを作って。5月中には全部揃ってた感じだったかな。

今村:そうですね。お店との兼ね合いと進行を考えたらっていうところで、必然とこのスケジュールになったっていう…あと、写真撮影が暑い時期すぎると大変だからっていうことで、6月中には撮影していました。

山本:そうそう。だから、レシピを私が作ってまとめたものを、今度原稿の形にするっていうのが、6月の頭くらいにあって。私がレシピを作った時点では、材料がこんだけですっていうのと、流れみたいなものしかないんです。それをどうやったらわかりやすい表現になるかを文章で考えてもらって、原稿の形にしてワードに落とし込んで。

今村:そうですね。5月に大枠のレシピのもとになる形態ができて、6月の頭にワードの原稿に落とし込みながら、どういうページ割りやレイアウトで本の形にしていくかを私の方で考えました。こういうレイアウトにするんだったら、文字数大体これくらいとか。編集者によってやり方は違うと思うんですけど、撮影前にどの原稿をいれて、どの写真を撮るかっていうのを決めちゃうんです。なので、そんな感じで、5月いっぱいに蓮理ちゃんに作業をしてもらい、それを一旦もらって、6月の頭、1〜2週間で私の作業をする。で、実際に撮影をしました。

山本:そうですね。6月の末に撮影があって、3日間で30何個撮りました。それぞれ手順と完成品を両方撮影していくんです。出来上がりが綺麗な状態を撮りたいから事前に完成品は用意しておいて、撮影当日はフードスタイリストさんにスタイリングしてもらって撮りつつ、私は実際に作って手順を撮ってもらう感じ。

今村:そうですね。この特にストロベリータルトなんかは、やっぱり綺麗に焼き上がってるのを撮りたいわけじゃないですか。だから手順撮って焼けたのを完成品として撮影するんじゃなくて、完成品は完成品で別に用意してもらいました。

山本:綺麗に焼き上がった「撮影用の完成品」を用意しなくちゃいけないの、大変だった…。

今村:当日焼いて、「うわぁ…しまった…割れた…」みたいのがあったら悲惨だったんで。

山本:っていうのと、プラスこの手順っていうのは、実際当日作りながら撮るっていうので。だから、1週間くらい、チーズケーキとかの完成形が、どうやったら綺麗に焼けるのか?っていうのを、ここにきてもう一回実験することになって。毎回、焼け方がちょっと違ったりするんですよね。湿度とか温度とかで。

今村:本当に蓮理ちゃんは4、5、6月が鬼のように忙しかったと思う。撮影終わるまでがうぁーっと、もう仕事がすごく多くて、逆に撮影が終わっちゃうと、こっち側で全部作る作業になるので、7月はちょっと空いたよね?

山本:7月の終わりぐらいに、初校がきたので、撮影終わって1ヶ月くらいは空いたかな。

今村:2、3週間?3週間くらいはちょっと空いたかな?

山本:これまでワードとかだったのがデザインとかされて本の形になった状態のものを初校って言うんですけど。

今村:そう。初校、再校って言うんですけど、実際に本の形のレイアウトに組み上がったもの。初校をゲラとも言います。で、その初校、ゲラっていうものが撮影から、会社によりますけど、うちの場合は3週間〜1ヶ月とかで出来上がって。その時点で7月の末なので、一週間で著者に確認してもらって戻してもらったら、またそれを一週間くらいかけて私の方で修正をして、直ったものが再校という形でデザイナーさんから戻ってきて。今度は8月中に再校を確認してもらって、修正して…

山本:つまり、8月の頭にレシピ本を出しますって発表して、Amazonで予約してくださいって呼びかけていた段階では、全然できてなかったんですよ。お父さんに言われました。「お前、出来上がって予約してくださいって言ってんじゃないのかい!」って。笑 で、8月中に…

今村:そう。8月中に2回確認してもらったのを全部チェックして、確認して、それを印刷所に入れました。その時にカバーとか、実際の紙に印刷したらどうかなぁ…っていうのを、色味を見てチェックしたり、中身の方も確認して間違いがないかなぁ…って確認をして。で、全てのデータを入稿。完了。それが8月ですね。書店に並ぶまでにちょっと時間があるので、実際の発売としては9月。

山本:9月…9月11日に発売になりました。

今村:こう振り返ると相当忙しかったね。

山本:決定から出版、刊行するまでが半年…

今村:半年ないくらい??すごいね。

山本:ありがとうございます。

今村:どう?やっぱ早かった??

山本:わかんない…比べようがないから、早かったかって言われるとわからないけど、まぁ早かったんじゃない?

今村:実際、本を刊行するまでってどれくらいかかるんですか?って聞かれることがあるんですけど、これは正直まちまちです。ただ、例えば学術書とか、学生が読むような本とかあるじゃないですか。ああいうのって、別に何年かけて書いてもいいというか、何年経っても色あせないテーマだったりとか…そういうところの場合は、刊行までに1年、2年かけてやるっていう場合があります。ただ、実用書は半年後、1年後に出してどうか?というところまではギリギリ見えても、2年後出してどうか?っていうのはなかなか…

山本:そうだね。2年となると。去年の事業計画を作る時に、コロナ禍で家でお菓子作る人が増えてレシピ本自体の需要が高まってるっていうのを知って。プラス、低糖質の流行りもあったから、もしかしたら私が自費で作ったとしても買ってくれる人いるんじゃないか?って思ったから計画したんだけど。実際に出版の話が持ち上がって、いろんなプロセスがあって時間が経っていったら、正直発売の頃にはコロナ終わって売れなくなってるんじゃないかって思ったりもした。

今村:ああ、思ったよね。正直。だから、このタイミングで出せたのはラッキーだったよね。

山本:そう。思ったより外出自粛も長引いて。

今村:正直、去年と今年で、私の調べる限り、低糖質のお菓子の本っていうのはいっぱい出てます。低糖質の本って、そもそも、前は一年に1〜2冊とか、そんな位のペースだったけど、今年に入って、4、5冊出てるんじゃないかな?時代の流れっていうのがある…

山本:ちょうど流行の時期に出したんだね。

今村:そこに乗れるスピード感で動いてくれたのが、とってもよかったです。とはいえ、本を出すってなったら時間かけたい、ゆっくりやりたいっていうのは痛いほどわかるんだけど、やっぱりある程度のスピード感に乗る、柔軟に開発していくっていうのも大事だったりしますね。でも、スケジュールとかは会社によるし、企画書の段階で何がいるのか?社内で大体、企画会議があるんですけど、それを通して、刊行決定となるんですけど、その会議を通すために何が必要なのか、レシピで言えば、数どれくらいいる?とか、実績ってどういうのが必要?っていうは会社によって異なるので、そこは確認して、出せるだけ出したほうがいいです。っていう感じはありますね。

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お金のこと

山本:次のテーマです。一番下世話な話しますけど、お金のことについてです。

今村:これを抜きにしては…

山本:本のことって分からなかったから、自分が出しますってなった時に、自分がどれだけお金を出さなきゃいけない…出さなきゃいけないっておかしいけど、自分の持ち出しと、それに対していくら返ってくるかっていうのが全然分からなくて…

今村:じゃあ、出版するまでにお金を出すっていうイメージがあったんだ。

山本:うーん、たまたま知り合いで、本を出すけど出したら買い取らなきゃいけないって話を聞いたことがあったから、どうなんだろう?って漠然としてて。結局、持ち出しの話でい言うと、私の場合は4月から5月の間にレシピを作るために試作をして。いっぱい試作をするための材料費は自分持ちでした。撮影の時、撮影用のお菓子の材料費は出版社が持ってくれました。

今村:いやー…試作の材料費、かかったでしょうね…

山本:うーん…正直いうと、普段の仕入れと一緒…一緒って言うとおかしいけど、仕入れてる材料はそこまで変わらないから、確かに売り上げ上がってない割に、仕入れだけが上がってるっていうのが、4月5月の感じではあった。

今村:本の辛いところって、印税とか入るのって、結局刊行後なので、それはちょっと最初ちょっとしんどいよね。最初は何もない状態で持ち出して、それが普通の読み物だったら、ワードでカタカタって書くだけ。お菓子みたいに原価がないから。

山本:そうだね。経費かかんないもんね。

今村:そう。経費はそんなにかかんない。お菓子のレシピ本を出すのが、ちょっとかかります。

山本:確かに。正直、本を出せるって言うことに対しての見返りが、私の場合は「印税は入る!」じゃないから…。そういう機会を貰えたんだな…っていう事の方が大きかったから、印税どこまで貰えるってことに興味がなくって…ただ、試作してるうちに「持ち出しすごいな…」っていうのはあった。でもそれぐらい。

今村:あー。印税が見返りでないっていうのは正直ありがたい。

山本:だってそうじゃない?今、本出したって…

今村:分かってくれる人はいいんだけど…でもいるよ。「本を出したら印税生活できるんじゃないか?」とかっていう…

山本:できないでしょ。笑

今村:先に言っちゃった…どうですか?印税生活…笑

山本:正直、思ったよりもらえた。試作した分を取り返せるくらいかなっていうくらいのイメージだったから、それよりは全然…試作してた期間分くらいは普通に生活できるくらいはもらえそうです。

今村:よかったよかった。これ以上言うと…具体的な値段が推測出来そうですけど…笑

山本:だから、結局私の持ち出しとしては試作分だけだったし、出版をするってなった時に、自費出版みたいな話とは違うから、それ以外になにか自分でお金を払ったっていうのはなくて、むしろ撮影の時に、撮影用の材料費とかは出してもらえるし、本が出版された数に対しての印税もあるし。

今村:今回の本に関して言うと、お金のことっていう面では、最初に話した「どんな形で企画になるのか」っていうのパターンで、出版社から企画を立てて、著者に依頼をして、刊行されて印税をもらうっていう流れと、同じお金の出し方です。

山本:一番普通の出版の形?

今村:そうそう。

山本:知り合いの人が、出版された分の何百冊なのか、何千冊なのか、買い取らないと出版ができないっていうことを言ってる人がいたから、そう言う意味ではお金の流れってどうなんだろうな…って思ってたんです。

今村:実際にそう言うケースもあったりします。

山本:そういう出版社?

今村:そう言う出版社だったり、企画だったり、契約だったり色々ですね。会社の人も見てるからあんまり言えないけど…笑。例えば、ビジネス書を出したいっていう著者からの持ち込みがありました、その人は自分の講演会でも売りたい、頑張りたいと言っています。
ただ、実際、一般の書店に並べた時に、ちょっと類書と比べて弱いな…とか、差別化ポイント…企画としての強みがイマイチ足りないってなった時に、こちらも出版社としては、採算も取れるようにしなきゃいけないので、この企画だったら数としてはこのくらい売れるだろう、でも、売り上げを立てるにはプラス何冊売らないといけないけないから、講演会であなたが使うように買い取って欲しいとか…企画によっては、そういう契約を持ち込まれることもありますね。

山本:なるほど。それを確認して進めないと、なんかあった時にこっちの方が弱い立場になる可能性の方が高いから。

今村:あんまりそういう悪い出版社がいると思いたくないけど…そもそも、出版業界って契約書とかが遅いんですよ。

山本:そう。あとからなんですよね。刊行が完全に決まってから契約書が登場するのはびっくりしました。レシピ作っている段階では契約を交わしてなくて。

今村:うちの会社は刊行のちょっと前に結ぶけど、前いた出版社では、刊行してから契約書を作って結びました。普通の会社でいうと、それって納品した後に、何月までに出します、契約しますっていう…不思議な形ではあるんですけど…

山本:私もこれまでいろんな会社に騙されてきたから不安で、最初聞いたよね?

今村:聞かれたね。

山本:だから、契約書とか最初に確認するようにしてて、企画段階の5月くらいの時に、「契約書ってないの?」って聞いたら、「出版は遅い。刊行するのが決まってから」って言われて、そうなのか!ってなって。

今村:会社によって違うのかもしれないけど、刊行が決まってない段階では契約が結べないし…って理由で、例えば、刊行予定だったけど、刊行しなくなったっていうものもなかにはあるんですよ。

山本:なるほどね。

今村:だから、刊行が確実になった段階で契約書を作るっていう。その点は理解しておくといいかもしれないし、でも、不安もあると思うので、きちっと版元の人に確認しておくといい。

山本:印税何%かくらいは確認したほうがいい。

今村:特に、レシピ本は撮影とか材料費とかかかるから…

山本:そっか。普通の文章の本よりも、レシピ本の印税って基本的に少ないんですよね。ちょっとパーセンテージが低いっていうのが普通。

今村:印税じゃなくて、原稿料とかで買取とかっていうのもあるし。

山本:売れた本の数でも発行部数でもなくて?

今村:一括いくらっていうのもあります。

山本:なるほどね。そう言うのもあるんだね。

今村:印税も、初版の刷り部数分で入る場合もあるし、初版のうちの何千部分で入る場合もあるし。

山本:最低保証みたいなのが決まってる契約もあるんだよね。

今村:あとは、売れた分だけ払うよとか…。本当に版元によって様々なので、そこは要チェックです。

出版したい人へのアドバイス

山本:ということで、最後のブロックです。現役編集者からの「出版したい人へのアドバイス」ということで、色々あると思うけど、出版をしたいと思った時に、「どういう人で、どういう企画だったら有利になるか」っていう話ですね。

今村:そうですね。これはレシピ本に限った話ではなくってって感じかな?

山本:それでいいと思います!

今村:あくまで、一編集者としての個人的な見解ですけど、大きく分けて三つくらい、これやっとくといいかなっていうのがあります。ひとつは、「目に見える実績を作っていく事」。誰が見ても実績がわかるものって判断材料として、すごくわかりやすいから、この企画行けそうだねってなるんです。今回の場合でいうと、「このお菓子めっちゃ美味しいから絶対売れます」って言っても…

山本:夢見菓子食べた事ない人、いっぱいいるもんね。

今村:しかも、蓮理ちゃんは本を出してたわけじゃないから比較も出来ないし…。ただ、そういう時に、実際にネットショップでこれぐらいの売り上げがあるんですとか、年間これぐらい購入されてるんです、おとりよせネットでこういう実績がありますていうのがあると、判断材料になったりします。

山本:レシピとかだと、インスタとかでレシピ発信しててめちゃくちゃフォロワーがいるっていうのに対して「この人の本出そう」っていうアプローチもあったりするんじゃない?

今村:最近は特にSNSから本になるっていうのが多い。ツイッターで話題になったアカウントがばんばん本を出したり…

山本:本出してるイメージある!

今村:ハンドルネームみたいな著者がいっぱいいたりとか…

山本:目に見える実績としては、やっぱりSNSとかが強い。

今村:強いですね。お菓子本は見た目もやっぱり大事だし。何もない状態で「でも、いいんです」って言われても、誰も納得出来ない。まず、実績を作る事だと思います。そして、2つ目が「実績を発信していく事」。実績にかかわらず、発信していく事。自分のやってる事、やりたい事っていうのは出していかないと。どんなに心の中で思っていたとしても伝わらないよね。例えば蓮理ちゃんの本を出したいっていうのもそうだったわけで。

山本:そうだね。あれもツイッターで呟かなかったら…

今村:あのツイッターの呟きがなかったらこの本自体なかったかもしれないよね。私たちも今回の流れとしては、ツイッターみて「形にしよう」って思ったけど、例えば、私たちが企画を出したいって言った時に、じゃあどういう人がいいのかって探した時に、やっぱりメリットがあるのは、常に発信してる人なんですね。

山本:なんでもそうだね。

今村:そう。今は、特に情報社会なので発信が大事です。最後に、「実績を作る」「発信する」に関連するんですけど、「自分の強みを明確に持って、それをPRする」っていうのが3つ目です。蓮理ちゃんの場合、低糖質っていうのがあって、その中でもさらにストイックで。本としては、150kcal以下、糖質5g以下に抑えたけど、夢見菓子はもっとストイックだよね。

山本:夢見菓子はそうだね。100kcal以下。

今村:糖質は?

山本:夢見菓子は糖質1.5g以下です。

今村:そうそう。すごいじゃないですか。めちゃめちゃ低いっていう。そういう、特にすごいっていうポイントがあると、同じ低糖質界隈の中で、なんでこれがいいの?っていうのが理由づけになるので、戦う要素がそれだけ増えるんですね。だから、「自分の強みをに持つ」っていうが大事かなって思います。今、情報化社会なので、どれが良い悪いっていうの情報が簡単に手に入るし、その中で、でも、これだから良いっていうものを作る必要があります。

山本:ちょっと関係ないかもしれないけど、この話を聞いた時に、私が普段、お菓子屋さんになりたいっていう人のコンサルをしてるんだけど、相談を受ける時に聞かれる「どうやったらネット販売で売れるお菓子屋さんになれますか?」っていうのと一緒だなって思った。

今村:うんうん。

山本:不特定多数の人に物を売るって時に、ネットって検索されないものが基本的に売れないから、「検索されるキーワードがあるものにしてくださいね」っていう話をよくするんだけど、似てるなって思って。もしくは、「あなたが有名になってください」。インスタとかでめちゃくちゃフォロワーがいたら「私の作ったお菓子です」だったら誰でも買ってくれるようになるからって。

今村:ファンがいればね。

山本:どっちかですねっていう話をよくしているので、一緒だなって思って。私は低糖質っていうキーワードが、どこにいっても強い時代に本を出せたなっていうのが、結構大きかった気がします。

今村:蓮理ちゃんが良かったところっていうのは、低糖質で大人のための素敵なお菓子を作りたいっていう、自分のやりたい事があって、それをもう一回、お客さんの目から見た時に、どういうものが求められるのか?具体的に、糖質をどれぐらい制限したらいいのか?材料はどれぐらい拘ったらいいのか?っていうのを計算して、強みとしてアピールしていって、実際にそれが売れるっていう実績が積み上がってったっていうのが大きい。

山本:私の個人、山本蓮理としてのインスタアカウントと、夢見菓子のアカウントと、どっちも同じくらい「予約しました」っていうのがきて、やっぱり夢見菓子として知ってくれた人もすごく増えたんだなって思いましたね。どういう角度でみんなが知ってくれたのか分からないけど、夢見菓子として知ってくれている人が。昔は全然そういう人がいなくて、私の知り合いだから買ってくれてる人が多かったから。

今村:私も昔は応援みたいな感じでお菓子買ってた。

山本:三年くらい経って、夢見菓子っていうのが大きくなったんだなっていうのが、本出しますっていう時の反響で分かったのは嬉しかったです。

今村:うちの会社でも実績を見て、これは大丈夫だって判断をしてもらえた。出版したい方は是非、そんな実績を積み上げていってくださいね。

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