キッチン利用者の声

【夢見キッチンの人々#6】C’ebano 相澤さおりさん

夢見キッチンの利用者さんに今の活動などをインタビューする企画の第6弾!

今回は、C’ebano 相澤さおりさんにお話をお伺いしました。

今後レンタルキッチンのご利用を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

相澤さおり

昔懐かしい丸いマドレーヌのお店「C’ebano」オーナー。

店名の「C’ebano」(せばの)は、山形の方言で「またね」という意味。
また食べたくなるようなお菓子を作りたい、お客様とまた会いたいという想いで名付ける。

製菓学校を卒業後、パン職人となる。
体調を崩したり、紆余曲折あり、長い時が流れ、
50代を迎えて開業を決意。
幼い頃に食べたマドレーヌを中心にマルシェで販売する。

2025年2月から湯島のアンティークショップで毎月マルシェを主催。

https://x.com/cebano2023
https://www.instagram.com/cebano55/pos/

お菓子屋になりたいと思ったのは幼稚園のとき

山本:今日はよろしくお願いします!

相澤:よろしくお願いします。

山本:まず相澤さんのお店の紹介をお願いいたします。

相澤:C’ebano(セバノ)と申します。昭和の丸いマドレーヌをメインに作っています。昔パン職人をやっていたのですが、ようやくお菓子のお店を出すことができました。

山本:元々パンを作られていたのですね。お菓子屋になろうと思った理由はなんでしょうか?

相澤:実はお菓子屋になろうと思ったのは幼稚園時代で…。祖母の友人の方が近所のケーキ屋さんに嫁いでいて、そこのケーキを食べた時に「将来お菓子屋になりたい」」と思ったのが最初でした。

山本:幼稚園時代から!それでは、お菓子屋さんになろうと思ったのが最初で、だけどパン職人になり、最終的に今お菓子屋さんということでしょうか?

相澤:はい。製菓学校に行き、パティシエになるつもりだったのですが…アルバイトとしてパン屋で働いたことでパンの面白さに気づいて、パン屋さんに就職したんです。

山本:就職されたのはどんなお店でしたか?

相澤:ちょっと高級な街のパン屋という感じで、フレンチとケーキ屋が併設されているようなお店でした。

山本:何年くらい働かれていたのでしょうか?

相澤:5年くらいいましたね。製造担当をしていました。激務だったので体を壊してしまい、その後職人の道からは離れることになりました。

山本:やはり現場は激務なのですね。その後は違うお仕事をされていたのでしょうか?

相澤:パンのお店でアルバイトしたりフレンチレストランでホールの仕事をしたりと、本格的な道からは離れつつ業界には携わっていました。フレンチレストランはMIKUNIさんのセカンドでいらした方のお店で「グランメゾントーキョー」みたいなノリのお店で、面白い経験でした。

50代という節目で一念発起

山本:パン職人や業界でのアルバイト経験などを経て、「C’ebano」を開くまではかなり時間がかかったんですね。

相澤:いつかお店を出したいとずーっと思っていたのですが、なんだかんだと言い訳をして先延ばしにしてしまいました。

山本:満を辞して「やろう!」と思ったきっかけはなんでしょうか?

相澤:50代という節目を迎えた時に「このままでいいのか」と思い、一念発起しました。

山本:大きな節目ですね!

相澤:周りの人には「ずっとやりたいって言ってたもんね」と言われるんですが、言ってないと諦めてしまいそうな自分がいたから、言い続けてはいたのかもしれません。

山本:夢としては持ち続けていたのですね!では、実際にお店をやろうと思った時に、パンではなくお菓子になった理由はなんでしょうか?

相澤:自分で製造・販売をしようと思ったときに、まずはシェアキッチンを使うことになると考えたんです。その時間内でどういうことができるかを考えたときに、パンは発酵時間などがあるので難しいかなと思い…小さい時に食べたマドレーヌを思い出しました。それが最初に「お菓子屋になりたい」というきっかけになったケーキ屋さんにあったマドレーヌでした。

山本:長い年月をかけて伏線回収!!本当に「夢」を思い出して叶えることにしたんですね。

「思い出の味」の再現から始まったマドレーヌ作り

山本:C’ebanoさんのマドレーヌは思い出の味から再現からはじまったんですね。

相澤:そのお店ももうないので、食べながら試すことはできなかったのですが、思い出して試作を繰り返して作りました。

山本:試行錯誤してこれだ!みたいな閃く瞬間はありましたが?

相澤:1g単位で調整して、これだ!というものはできました。しかし実際に販売していくと季節によっても仕上がりが違ったりすることに気づいて、これからも改良していく必要があると思っています。

山本:実際に製造を始めて大変だったことはなんですか?

相澤:最初はケーキの実務経験がなかったので大量に作るのが難しかったです。今はだいぶ慣れました。

山本:お店の名前やロゴはこれだ!というものが最初からあったのでしょうか?

相澤:実は製菓学校時代に全然違う名前でパンのお店を出したいと思っていたようで、その時に作った看板が出てきたんですよ。彫刻刀で木を彫って作っていました。その看板にはさくらんぼのモチーフが入ってたんです。名前は尊敬している方のお店とかぶっているのでやめようとなったのですが、モチーフは残しつつ、方言を取り入れたフランス語風の響きである「C’ebano」にすることにしました。

山本:C’ebanoのロゴには猫のキャラクターがいますが、どうやって誕生したのでしょうか?

相澤:ロゴはデザイナーさんにお願いして書いていただいたのですが、ブリティッシュショートヘアーというグレイの猫をモチーフに書いてもらいました。

山本:イメージ通りに作ってもらえましたか?

相澤:はい。人間っぽい顔をしているのが面白くて、抜けたような顔が自分にも似ている感じがする猫ちゃんで、第一印象で気に入りました。

「マドレーヌ」に対する人々の反応が面白い!

山本:実際に販売を始めて、お客さんの反応はいかがですか?

相澤:年配の方には「昭和の頃あったわねえ」と言ってもらえますね。最近は貝型のマドレーヌがメインなので、若い方には馴染みがないようで伝えるのが難しかったりと、面白い反応がありました。

山本:私はこの材料高騰時代にあのボリュームあるマドレーヌを出してもらえることに感動しました。

相澤:すでに商売をやられている方からは「こんなのでは採算合わないでしょ」とお叱りを受けたりして、最近はちょっと大きさを調整しつつやっています(笑)「レトロ」という名前のマドレーヌについては大きさを変えたくないので、試行錯誤しています。

山本:もっと値段を上げても大丈夫だと個人的には思います(笑)試作から始めて、実際の製造に移って、気持ちに変化はありましたか?

相澤:自分の商品なので愛着があって作っていて楽しいです。

山本:これからもマドレーヌメインだと思うのですが、考えている展開はありますか?

相澤:季節のものを取り入れて、時期によってマドレーヌの種類を増やしていけたらと思っています!

近所に見つけた「夢見キッチン」。オンラインコミュニティの参加を経て念願のマルシェ出店へ

山本:最初に夢見キッチンを使っていただくきっかけはなんでしたか?

相澤:シェアキッチンを探し始めたとき、近所に夢見キッチンさんを発見しました。最初に使おうと思ったのは近いのが一番の理由でしたが、検索している時に山本さんのXを拝見して、プライベートなこともいろいろ書いていたので人間味のある方だなと思ってそれも決め手でした。

山本:ありがとうございます(笑)そこまで見ていてくださったんですね!最初からシェアキッチンで始めようというイメージはあったんですね。

相澤:シェアキッチンの存在は知っていたので、まずはそこからスタートしようと思いました。

山本:思い立って実際に販売するまでどのくらいの時間がかかりましたか?

相澤:実は…やろうと思って会社を辞めたものの、コロナにかかってしまい、そこから半年間くらい休むことになったんです。その後、まずは夢見キッチンのオンラインコミュニティに参加しました。

山本:オンラインコミュニテイに参加いただいた当時、「コロナで味覚を失ってしまった」というお話をされていましたね。

相澤:コロナで失った味覚がようやく戻ってきたところで。やっと動き出せると思い、2023年の9月からオンラインコミュニティに参加して、2024年3月の夢見マルシェでデビューしました。

山本:デビューからちょうど一年ですね!季節が一巡したところですね。もう何年もやっている感覚で見てしまっていました。

相澤:この一年、とても濃かったので…(笑)

山本:夢見キッチンを使っていただいてどうですか?

相澤:料金的にも控えめにしていただいていて、菓子製造業許可付きのキッチンを利用させていただいているので感謝しています。今後自分でもシェアキッチンを作りたいと思っていて、その時の参考にもさせていただいています。

一度に作れるのは200個ほど。意外と時間がかかる袋詰めに焦ることも

山本:今の製造ペースはどのくらいですか?

相澤:月に1〜2回、マルシェ出店前のタイミングで使わせてもらっています。

山本:ちなみに一回8時間でどのくらい製造できるのでしょうか?

相澤:200個くらいは作れます。

山本:200個!思ったより多いですね!スタンドミキサーを使われているのでしょうか?

相澤:ハンドミキサーで作っています。1回40個、焼成20分くらいで作ります。冷ますときは自分で扇風機を持って行ったりして時間の短縮をしています。作るよりも袋詰めの作業の方が時間がかかったりして苦戦しています…。

山本:私も「作るのはこのくらい時間だから余裕」と思ってたのに、袋詰めとかシール貼りに想像以上に時間がかかって焦ったこと何度もあります!

相澤:シーラーかけ終わるまではキッチンでやらないといけないので泣きそうになりながらぎりぎりでやったこともあります。

山本:菓子製造業の営業許可のある場所ではそこまでの作業は必須なので、本当に大変ですよね。

2025年2月から湯島のアンティークショップで毎月マルシェを主催。これからも進んでいきたいと思います!

山本:これからの目標がありましたら教えてください!

相澤:今年の1月下旬くらいに湯島のアンティークショップの空間を生かしたいという話をいただき、マルシェをやることを提案したんです。「anoniwa.」という名前のマルシェで、初回は2月22日に開催しました。これからは毎月15日と最終日曜日に開催していく予定です。

anoniwa.マルシェ

開催日時:毎月15日・最終日曜日 11:00〜17:00
住所:東京都文京区湯島2-31-5 古美術 米山内
アクセス:湯島駅から徒歩5分
Instagram:@ano_niwa

山本:月に2回のペースでマルシェを主催されるんですね!出店者を集めて当日の運営もして…お一人では結構大変ではないでしょうか?

相澤:自分が主催なのでプレッシャーもあり、山本さんの苦労もわかってきました(笑)
これを続けていくのが今の目標です。年齢的に親の介護問題も発生しているので、うまく両立していけたらと思っています。

山本:マルシェの出店者さんはお菓子の方が多いのでしょうか?

相澤:コーヒーや紅茶の方もいらっしゃいます。これまで様々なマルシェに出店して出会ったお店の方をお呼びしています。

山本:2025年2月に大山かめやキッチンで開催した夢見マルシェでは、パン職人の経験を活かしてパンの販売をしていただきましたが、今後もそのような企画は考えていらっしゃいますか?

相澤:自分自身が出店するときはマドレーヌでいこうと思っています。以前やらせてもらったパン企画も楽しかったのでそういった日もある予定です!

これからお菓子屋さんを始める方へのメッセージ

山本:これからお菓子屋さんを始めようという方にメッセージがあれば聞かせてください!

相澤:まずは勇気を持って一歩を踏み出すところからですね。私は40年くらいかかっていますが(笑)

山本:それでも始められたことで未来は大きく変わったのではないでしょうか!

相澤:今はやっとここまできたなという気持ちで、これからどういう出会いがあってどういう結果になるか楽しみにでもあります。
マルシェも主催すると思っていなかったので意外な展開ですが、楽しくできているのでこれからも進んでいこうと思います。

山本:以前、相澤さんが夢見キッチンの忘年会の時にお話されていた「お酒も飲めてパンやお菓子も出すお店をやりたい」いう夢にときめいたので、それをとても楽しみにしています。

相澤:最終的にはそれを目標にしています!

山本:そこで飲みながら「いろいろありましたね」という話をしたいです。今日はお時間いただいてありがとうございました!

相澤:ありがとうございました!

【夢見キッチンの人々#5】洋菓子るぽ 倉田しのぶさん 夢見キッチンの製造室を利用している方をお呼びして、今の活動などをインタビューする企画の第5弾! 今回は、洋菓子るぽの倉田しのぶさ...
副業で手作りお菓子の販売をはじめるためのロードマップ【手順まとめ】副業でお菓子の販売をしたい方に向けて、少ない資金でもできる方法で順番にやるべきことをまとめました。...

魅力的なお店&商品作りのためのチェックリストをダウンロードして、お菓子の販売を始めてみませんか?無料ダウンロードはこちら

菓子製造業の営業許可のあるキッチンを貸し出しています。レンタルキッチンの詳細はこちら

お菓子屋さん開業のためのサポート実施中!詳しくはこちら