お菓子屋さんをはじめると、日々の仕入れや消耗品で支払いがあったり、商品が売れれば売上金が入ってきたリ…お金の出入りが発生しますね。
そういったお金の管理って、一体どうすればいいのでしょう?
大きなお店を持っていなくても、お菓子販売を始めたら立派に「事業者」であり「オーナー」です。
お店をやるという自覚を持つためにも、金銭管理はしっかり行いましょう。
そこで今回は実際にお菓子のブランドを立ち上げて運営している私が、お金の管理方法についてお伝えしていきます。
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お菓子を販売している=立派な事業者である
お菓子屋さんをはじめるとき、いきなりお店を持たずに、ネットやマルシェでの販売からはじめる方もいるかと思います。
物件を借りてお店をやりますという風に大規模なものではなくても、お菓子を販売している時点で立派に事業者であってオーナーである自覚を持つことは大事です。
その自覚というのは金銭管理をちゃんとやることによって生まれると思います。
始めたばかりのころは、大した金額じゃないからという感じでうやむやにしたくなるものです。しかし大した金額じゃない時から管理する癖をつけておかないと、後からやるのはとても難しいです。
うやむやになってごちゃごちゃしている状態のまま売り上げが上がってきているけれども、確定申告の仕方が適当なままという人をとてもたくさん見てきました。
今回コロナの助成金がでますという時にもきちんと帳簿をつけて確定申告をしていなかったために申請できなかった…という例も見ました。
普段から意識が低いと、そういう時に自分が損をしてしまいます。
これからやるという方にはぜひしっかりとやっていただきたいと思います。
事業用口座を作ろう
絶対やって欲しい事として、まず事業用の口座を作ることです。
大事なポイントは私用の口座と別にすること。
なぜかと言うと、事業用の収支を管理するには仕訳というものをする必要があるからです。
仕訳は、収入や支出に対して「これは売上です」「これは仕入れで使ったお金です」とラベルを貼っていくような作業です。
つまり、お金が出ていった時に、自分の個人的な用で使ったものと、材料を仕入れるために使ったものが混在してると、それをその都度、これは私用なので関係ないんですという風に仕訳をしなければいけないんです。めんどうな作業だと思いませんか?
私用のものは確定申告で申請する必要がないので、最初から私用と事業用で分けた口座を作った方がいいのです。
事業用の口座はどの銀行でもいいと思います。法人だったらもちろん法人口座が必要ですが、個人事業主だったら自分の名前の口座で、もともと持っている普段使っていない口座でも構いません。
私の場合は屋号を入れたかったので新しく作りました。しかも楽天銀行とゆうちょ銀行の2つ作りました。
調べた当時はこの2つが一番簡単に法人ではなくても屋号で口座を作ることができました。
もちろんゆうちょと楽天銀行で性質が違いますが、私が重視していたのは屋号だけで作れる口座が欲しかったということ。
ゆうちょは屋号だけで作ることができました。楽天銀行は屋号プラス本名という口座名義になります。
なぜ屋号で作りたかったかというと、ネット販売で支払いに銀行振込を用意するとき、銀行口座の情報をお客さんに出しますよね。その時になんとなく屋号だけの口座が欲しいと思ったというのが単純なゆうちょの口座を作った理由です。
楽天銀行の屋号プラス本名の口座を作ったのは、その当時、楽天銀行だとデビットカードが一緒に作れたので作りました。
というのが2つになった経緯です。
現在はゆうちょの審査が今までより厳しくなっており、もしかしたら今は楽天銀行のほうが作るのが簡単かもしれません。
どの銀行で作ろうとも、私が重視しているのが
- 私用の口座とは別にすること
- その口座に紐づくデビットカードを作る
ということです。
デビットカードを作ろう
経費の支払いには現金やクレジットカードなど様々な方法があります。
その中でおすすめなのがデビットカードです。
クレジットカードだと翌月の引き落としだったりしますが、デビットカードは即時で引き落としてくれます。タイムラグがないというのが一番いいところです。
お菓子屋さんは細々した出費がとても多いんです。卵を買い忘れたから追加で購入200円、生クリームが足りなくなり購入300円、といったように、下手したら1日に3、4回買い物することも。
そういう時に現金で全て管理してると、そのレシートをもとに書き起こすしかなくなります。
デビットカードだったらどんな小さな金額でも全てそれで払っていけば、自動的に口座に記録が残っていきます。
だからお菓子屋さんをやりたいと思っているのならデビットカードがおすすめなのです。
最初はデビットカードを持っていませんでしたので、月の入力で手入力したものが30〜60件くらいでした。
デビットカードを作り、どんな支払いも基本デビットカードでやると決めてから、手入力が月5件くらいになりました。
デビットカードでなくても、PayPayなどのQR決済で事業用口座と紐づいていきちんと記録が残る方法があればそちらでも構いません。
会計ソフトに登録しよう
口座とデビットカードの準備ができたら会計ソフトに登録しましょう。
最近の会計ソフトはもとても簡単に使うことのできるものがたくさんあり、freeやMF クラウド、マネーフォワード、弥生会計などがそうです。
会計の初心者でも簡単に使えるようになっているので、とにかく登録してみましょう。
ほとんどのソフトは口座とリアルタイムで連携ができるようになっていて、ネットショップの売り上げが振り込まれる時や、デビットカードの利用記録を全て会計ソフトに反映してくれます。
そしたら、これは消耗品だった、これは売上、というように自分で仕訳していきます。
これを全て、日付から金額から手入力しようと思ったらとても大変です。ましてエクセルなんかですべて入力しようとしたらそれはもう本当に大変なので、会計ソフトを登録して事業用口座と連携させる、その口座でデビットカードは作っておく。
これだけでとてもラクになりますね。
現金で使ったお金は別で記録しておくと確実
キャッシュレスも進んでいますが、まだ現金を使うことはあると思います。
その場合はもちろん会計ソフトに直接入力することもできますが、私は現金は現金だけで、エクセルのシートでも何でもいいのですが、現金出納帳としてアナログな方法でつけておくのが大事だなと思っています。
なぜかというと、もし間違っていた時、会計ソフトに入力しただけだったらエビデンスがなくてレシートと突き合わせないとわからなくなるんです。
少し手間はかかりますが、少ない件数なのでエクセル等でいくらこれに使ったというのを記録して、会計ソフトにも入れるという方法をとっています。間違っていた時にまたレシートを出してきて突き合せるよりはラクかなと個人的には思います。
こまめに収支を確認して仕分けをしよう
会計ソフトと口座の連携ができたら、最低でも一か月ごとに必ず見返すべきです。
連携しておけば自動で金額の入力はしてくれますが、消耗品だったのか仕入れだったのかというのは自分でつけていかなければなりません。
こまめにやっておかないと、例えば確定申告が近くなり、1年分溜まったときにやるとなったらさあ大変。例えば1年前のスーパーでの1000円の引き落とし、これが材料費だったのか消耗品費だったのか、思い出せますか?
理想は使ったら何日かおきでもいいので、これは消耗品だったなと仕訳していくのが一番良いでしょう。
それはなかなか難しいと思いますので、一か月ごとくらいでレシートを見つつこれは消耗品だなと仕訳をしていきましょう。
確定申告のためでもありますし、今月どれだけの収支だったかというのを把握していくことも大事です。
会社員であれば給料として入ってくるのは全て引かれたあとの手取りが入ってきますが、自分で商売をやると、収入だけではなくて、収入からさらに経費が引かれてはじめて純粋な所得がわかります。
これで生計を立てようと思った日には、その所得からしか自分の生活費を出せませんよね。
例えば今バイトと両立をしているし、バイト代で生活費はまかなえるから、お菓子屋さんとしてはマイナスだという人も、そのマイナスがどれくらいなのかを把握していないと、永遠にそのバイトしながらやり続けるだけになってしまいます。
その所得から生活するためにはどれだけ稼がなければいけなくて、どれだけ経費で落とすというのを把握するためにも、一か月おきには見直して欲しいと思います。
お金の管理はしっかりと
小さい金額だからいいやと金銭管理をおろそかにしている人は、一概には言えませんが、なかなか積み重ねられないというか趣味で終わっているという印象が私にはあります。
めんどうでも、自分は事業者なんだ、お菓子屋さんのオーナーなんだという気持ちを持って金銭管理をしてもらえればと思います。
私も最初の2年程はつけてるのが惨めなくらいマイナスでしたが、本当に今回のコロナでの助成金や、少し金額が大きくなってくると、この管理の仕組みを作っておいて良かったと思うことが増えました。
誰も助けてくれませんから、自分で把握して自分でやりやすい金銭管理の方法を皆さん身につけていただければいいなと思います。