店舗を持たないという選択でお菓子屋さんをやるには具体的にどういう販売方法があるのでしょうか?
それぞれのメリットやデメリットも気になりますよね。
この記事では、「菓子製造業」を持つキッチンでできる3つの販売方法について、私が実際に経験して感じたメリットとデメリットをお伝えしていきます。
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店舗を持たなくてもお菓子屋さんを始めることができます。
詳しく知りたい方はこちらからどうぞ。
菓子製造業許可のある工房でできる販売方法
作ったお菓子を販売するとなると、菓子製造業許可がある工房が必要です。
ですが、製造スペースと完全に分離された販売スペースがないと工房で直接の販売はできませんし、工房のなかでの飲食は飲食店の許可が必要になるのでできません。
では、菓子製造業許可だけでできる販売方法はなんでしょうか?
代表的なものは次の3つだと考えています。
- マルシェ販売
- ネット販売
- 卸販売
私はもともとマルシェでの出店から始めて、今はネット販売を中心に行っています。
卸販売も少しだけやっていたことがあります。
それぞれの販売方法をやってみて、私が感じたメリット・デメリットについてお伝えします。
それぞれの販売方法のメリット&デメリット
マルシェ出店
マルシェとは人とモノが集まった市場のようなイベントで、それに出店します。
地下鉄の通路や大きな公園などで週末などにやっています。
メリット
- 比較的普通のお店に近いのでイメージしやすい
- 場が用意されている
- 送料・梱包などがない
マルシェ出店の一つ目のメリットは普通のお店に近く、始めるのにイメージしやすいことです。
自分の作ったものが目の前で売れて、その時の会話からお客さんの生の声が聞け、お店をやってる実感が得やすいです。
二つ目は主催者によって場が用意されているということです。
主催者が定期的に会場を用意し、お客さんを集めてくれます。
マルシェ自体にお客様がいるので、リピーターになってもらいやすいです。
三つ目は梱包や発送、送料がないこと。
簡単な包装をした商品を持っていくだけでいいという手軽さがあります。
デメリット
- 在庫管理が難しい
- 天候や社会情勢に左右される
- 備品や商品の運搬が大変
- 単価が安くなりがち
マルシェ出店の一つ目のデメリットは在庫管理が難しいことです。
どのくらい売れるかの予測が最初は難しいです。
お客様に買っていただけるかは自分の技量次第で、それができないと商品をたくさん用意しても余ってしまいます。
売るためには季節に合った売れる商品と買いたくなるサービス、商品を売り込むコミュニケーション能力があるといいですね。
私は大声で呼び込んでアピールしたりするのが苦手で、お客様が来るのを待ってしまうことがあり、対面販売は難しいと感じていました。
二つ目は天候や社会情勢に左右されやすいことです。
コロナの影響でマルシェやイベントが中止になったことも記憶に新しいですよね。
さらにマルシェは屋外での出店が多いので、暑い夏や寒い冬は体力を奪われ出店するのも大変ですし、お客様もじっくり選びにくいです。
三つ目は備品や商品の運搬が大変なこと。
私は都内で一人暮らしのため車がなく、一日で売る商品だけでもそれなりの量になるので、持っていくのが大変でした。
他の出店者は車でこられる方が多かったのですが、車があっても駐車場をどうするかという問題があるようでした。
テントやテーブルの大型備品はマルシェによって貸し出しがなかったり、あったとしても有料なことも。
四つ目は販売単価が安いこと。
焼き菓子は単価が低く、例えば200~300円の商品を100個売って売上2,3万円です。
駐車場代や出店料(こちらはピンキリで3千~2万円くらい)がかかるとやりくりも大変になってきます。
有料の備品を利用するとなると経費もかさむので、自分である程度備品を用意する方が効率的かもしれません。
ネット販売
ネット販売は利用したことがある方が多いと思います。
説明不要かもしれませんが、インターネット上で販売する方法ですね。
メリット
- 在庫管理ができる
- 見せ方をじっくり考えられる
- いつでもどこからでも買える、知ってもらえる
- 天候に左右されない、時代に合っている
- 単価をあげやすい
ネット販売のメリットの一つ目は在庫管理ができることです。
受注生産にすれば無駄を出さないように作れますし、販売方法を自分で柔軟に変えることができます。
二つ目は見せ方をじっくり考えられること。
商品のブランディングができます。
マルシェでは説明不要のわかりやすい商品のほうがすぐ買ってもらいやすいのですが、私は当時からお酒が入っていたり凝ったネーミングだったり…少々複雑なお菓子を作っていました。
マルシェだと、こだわりは立ち止まって聞いてもらわないといけないし、一人だから伝えられる人数も限られ、話している間に他のお客様のお会計の対応ができなかったりします。
一人一人とゆっくり向き合ってこだわりを伝えたいなら、ネット販売のほうがやりやすい可能性もあります。
三つ目はいつでもどこからでも買えて、たくさんの人に知ってもらえること。
ネット販売にして嬉しかったことが地方の方に販売できることです。
東京でマルシェだけやっていたら、会場に来られる方にしか販売できません。
時間も場所も気にせず買い物していただけて、たくさんの方に知ってもらえるのは良かったと思います。
四つ目は天候に左右されず時代に合っていること。
コロナのご時世でも売り上げをキープできていたのはネット販売のおかげだと思います。
五つ目はマルシェとは反対に単価を上げやすいこと。
おそらくみなさんネットでお菓子を買おう!というときには、数百円のものを買わないと思います。
アソートにしたり、ギフト商品にすると、まとまりのある中から数千円で買ってもらえ、単価が上がります。
デメリット
- 販売準備が必要
- 商品を頻繁に変更するのが難しい
- 送料・梱包が必要
- 競争が大変
ネット販売のデメリットの一つ目は販売準備が必要なこと。
まず販売するサイトが必要ですし、商品写真の撮影や商品の紹介文を考えるのもそれなりの時間がかかります。
注文を受けてから発送までの日数をどうするかといった受注システムも確立させなければいけません。
二つ目は商品を頻繁に変更するのが難しいこと。
例えば季節ものの良い食材が手に入ったから期間限定の商品に!と思っても、写真を撮って文章を考えてと販売するまでの工程が多く手間がかかります。
その都度作業するのが苦にならなければいいかもしれません。
三つ目は送料・梱包が必要なこと。
送料の負担をこちらがするか、お客様がするかは頭を悩ませます。
梱包も壊れないように最適な方法を探したり、配送中に品質が変わらないように気を配ったりしなければなりません。
四つ目は競争が激しく大変なこと。
例えば楽天のスイーツのカテゴリーでは商品が40万点ほどあります。
その中で自分を選んでもらうには?と考えなければいけません。
SNSで集客したり、戦い方はいろいろありますが工夫が必要です。
卸販売
卸販売とは商品を買い取ってもらい、買い取った方が商品を販売します。
ほかの方が持っているお店に販売を委託する委託販売は売れた分だけ手数料を支払うことになり、卸販売とは少し違うので今回は除外します。
メリット
- 在庫管理しやすい
- 一度の販売数が大きいので安定的な収入になる
- 同じお店にずっとおいてもらえるので視認性が高い
卸販売の一つ目のメリットは在庫管理がしやすいことです。
販売日と納品数がわかっているので管理がしやすいです。
二つ目は安定的な収入になること。
一度の販売数は大きくなり、売り上げも安定します。
三つ目は視認性が高いこと。
卸先がずっとお店においてくれると、そのお店に来た方の目に留まって認知してもらえます。
さらにそのお店に行けばいつでも商品が買える状態になります。
気軽に1個だけ買って試してみることもできますね。
「あのお店に行けば買えますよ」と案内できるのもいいところです。
デメリット
- 最初のコネクションを探すのが大変
- そのお店が閉店すると一気に売上がなくなる
- 値段交渉
卸販売の一つ目のデメリットは最初にコネクションを探すのが大変なことです。
知り合いのコネクションがあればいいですが、ない場合は自分から営業をかけないといけなくて苦手だと難しいです。
二つ目はお店が閉店すると一気に売上がなくなること。
現在コロナの影響で飲食店が休業や閉店していますが、そうなると販売することができません。
三つ目は値段交渉が必要なこと。
卸販売だとお店の方が販売しますし、まとめて買い取る分、普通に売るより安くすることもあります。
卸販売はお店に依存するところが大きいですね。
自分の得意・不得意や環境、商品特性に合わせて販売方法を選ぼう
私が選んだのは「ネット販売」でした。
その場で販売するコミュニケーション能力のなさと、車を持っていなくて毎回大変だったのでマルシェはやめました。
こだわりがあって説明が必要なお菓子だったので、ネット販売でお客様に商品ページを見てもらい買っていただくことが向いていました。
卸売り先のお店のコネクションがなかったので、現在卸販売はやっていませんが、いずれやってみたいと思っています。
このように自分の得意・不得意や環境、商品特性、そして現在の自分のステージに合わせて販売方法を選択していきましょう。