開業記録

実録!空家スイーツができるまで〜中身編〜(商品開発の流れ実例)

庭のある生活の豊かさを伝える、空家スイーツプロジェクト。

埼玉県比企郡鳩山町の空き家の庭になる果物を使って、町の土産を作るプロジェクトを発起人・菅沼朋香さんと私が中心になってやっています。

先行発売を兼ねたクラウドファンディングは445%を達成し、9/1(火)に一般発売を迎える商品は、実は着想から2年以上かかって完成したのです。

今回は具体的にどんな風に商品開発が進んでいったかをお伝えします。

音声で聞きたい方はこちら↓

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空き家スイーツとは?

空き家スイーツとは、空き家の庭になっている果物を使ってお菓子を作り、町のお土産にしようというプロジェクトです。

空き家スイーツの発起人は菅沼朋香さん。生活芸術家でYouTuberでもあり、埼玉県比企郡鳩山町というところで町おこしの事業に携わっている方です。

実は私もお菓子屋さんをやる前にその町おこしの事業に携わっていて、その町にも起業支援の一環で鳩山町コミニティマルシェという所にレンタルキッチンを作りました。

一時期菅沼さんとは毎日一緒にお仕事していて、その頃から空き家スイーツプロジェクトというのは話が出ていたんですが、実際に商品発売ができるというところまでくるのに2年くらいかかっています。

空き家は持ち主がいない家なので、なっている果物をどうやってもらうかなど、いろんな問題があり発売までたどり着くまでに時間がかかりましたが、ようやく9/1に発売できるようになりました。

先行発売という形でクラウドファンディングをやらせてもらって、つい先日リターン分のお菓子約70件を発送したところです。

空き家スイーツのコンセプト

空き家スイーツのコンセプトは空き家の果物を使ってお菓子を作り、庭がある生活の豊かさを伝えること。

菅沼さんは町おこしの仕事を始めてから鳩山町に移住しています。

菅沼さん自身、東京から移住したことで、四季をわざわざどこか行かなくても、庭があることによって感じられるのにとても感動したのだそうです。

鳩山町は埼玉県の真ん中あたり、池袋から電車とバスで1時間半くらいのところにあって、空き家が多く、その数は100軒以上。

バブルの時に山を切り開いて開拓した新興住宅地で、どの家も一軒家で庭があるというのが鳩山町ニュータウンでした。

そういう街なので、どの家も空き家になってしまっても庭に果物が生り続けるていうのが目に留まっていて、その空き家の果物を使ってお菓子を作ることで庭のある生活の豊かさを伝えたいと考えたのです。

さらに、空き家スイーツをきっかけに空き家が存在していることを知ってもらって、移住者を増やして町おこしにつなげるというのが最終目標です。

空き家スイーツ詳細についてはこちら

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空き家スイーツ商品開発と完成までの流れ

空き家スイーツの商品開発についてですが、実際はパッケージにも強いこだわりがあります。

私は中身を担当し、菅沼さんはデザイナーさんでもあるので外側を担当、というように分担して行いました。

今回は中身についてお伝えしていきます。

おおまかな流れは

どんなお菓子を作るか決める決定したお菓子について研究試作を繰り返し作る完成

といった感じです。

それぞれ詳しく見ていきます。

どんなお菓子にするか決める

空き家の果物を使ってお菓子を作ってお土産にするとなったときに、どういうお菓子がいいんだろうと悩みました。

すごく安易ですが、空き家ということで最初はパウンドケーキみたいなものを家の形で作れないか試し、屋根の部分に果物を使おうと考えていました。

賞味期限の壁にぶち当たる

しかし、お土産がその町で売られてるイメージをすると、私がやってるネット販売のお菓子屋さんなら注文が来てから作って発送できますが、お土産というのはお土産屋さんにずっと置いてあるものですよね。

そうすると賞味期限が短いものは作らないほうがいいと思いました。

賞味期限が長いといえばクッキーだろうと考えました。

ロシアケーキとガレットが候補に

果物が使えるクッキーで、果物は四季を表すから季節ごとに変わっていくはずだと考え、ひとつフォーマットをつくって果物だけ変わっていくようにしよう、そういう風に作れるクッキーは何だろうと考えました。

そこでロシアケーキとガレットを思いつきました。

ロシアケーキはクッキーが2層になっていて、上の層は穴が開いててそこにジャムが入っています。

ガレットはバタークッキーのような分厚いクッキーで、代表的なものはマーマレードが入っています。

どちらもおいしいし、クッキー詰め合わせでもいいと思っていました。

ロシアケーキに決定

試作を作り菅沼さんに食べてもらうと、果物の味がダイレクトに感じられるのはロシアケーキだね、ということになりました。

ロシアケーキはジャムがそのまま上にのってるため果物の味がダイレクトにわかるのですが、ガレットは生地の中に混ぜているため風味付け程度でした。

さらにロシアケーキは果物が変われば色も変わり、見た目もはっきり変わっていいんじゃないかということでロシアケーキになりました。

ロシアケーキって昭和のイメージで、菅沼さんが昭和レトロ研究家でもあり、一軒家に住むことで昭和レトロを感じていて、そういう意味でもロシアケーキは昭和っぽくていいなとなったのが採用された理由の一つでもあります。

決定したロシアケーキの研究

ロシアケーキに決まったものの、自分の商品として作ったことがなかったので研究しなきゃと思い、いろんなロシアケーキを取り寄せて食べてみました。

私はロシアケーキって果物のイメージしかなかったんですが、チョコレートやナッツのものもあったり、形も丸だと思っていたけど独自のカタチのものもあり、どれもすごく自由でとても興味深かったです。

試作を繰り返し作る

いろいろなロシアケーキを食べた上で、自分が作るならこうかなと、あとはひたすら作るのみでした。

ニュータウンは当時家を買われてずっと住んでいる方で、基本的に高齢の方が多いです。

そのため他のお店のロシアケーキはパリッとしてるのが多かったのですが、硬いのはだめだと思いました。

やわらかさ、しっとりした感じがあるのと、果物の味を際立たせるのを重視して、同じフォーマットでいろいろな味に対応できるのがいいと考えていました。

その他のポイントとしては

  • 見た目の可愛さ
  • 大量生産を考えて複雑な手順にはしない
  • 添加物を使わない

といった所です。

ひたすら作って、菅沼さんや菅沼さんが鳩山町でやっているバー・ニュー喫茶幻のお客さんに食べてもらって感想を聞き、フィードバックをもとに私がまた作るというのを繰り返しました。

材料の配合は完成という所まできたら、見た目は型の組み合わせを変えてみたり、菅沼さんにデザイン的な意見を聞きながら形を一緒に決めてもらいました。

こうしてひとまず完成したのです。

一度は完成したがさらに改良して完成

パンフレットやHPを作るために商品の撮影をすることになり、商品撮影用にいろんなジャムを使っていろんな種類を作りました。

撮影の合間に関係者にこれが最終の完成形ですと配って食べているときに、自分で「やっぱりなんか違う」と違和感を感じました。

クッキーの形によっては、2枚のクッキー生地を重ねた時にジャムが入ってる部分(=クッキー生地が1枚だけ)と、ジャムが入ってない部分(=クッキー生地が2枚重なっている部分)の2パターンが1枚のクッキーの中にできています。

今までずっとジャムが入っている部分に焦点をあてて作っていて、ジャムと一緒になったらおいしかったのですが、クッキーだけのところを食べると少し粉っぽさがある。

クッキーの形によっては、ジャムと一緒に食べるしかないものもあるのですが、クッキーだけを食べる可能性のある形もあって、それが撮影中気になってしまいました。

そのため実際の販売までに改良してくると菅沼さんに宣言し、3週間くらいの間にひたすら配合を変えてとにかく作り、ようやくこれならいける!と実際に食べておいしいと思えるものが完成しました。

完成してからがはじまり

商品は完成したものの、やっぱり人の手に渡ってからがスタートです。

味だけではなく、食べやすさや大きさや値段等、いろんなことをいろんな人が言ってくれることを期待していて、それを受けて商品はどんどん変わっていくものだと思っています。

2年かかってやっとスタートに立てました。

といのが今の空き家スイーツに対する気持ちです。

現地の学生シェアハウスに住んでいる学生2人と菅沼さんと計4人で二日間かけて焼き上げ、もう一日でラッピングと発送作業をおこない、全部で約700枚、78箱作りました。

これまでにない規模ではじめてのことで大変でしたし、終わった!という気持ちになっていますが、これから一般発売用を作らないといけません。

9/1からネット販売と、鳩山町コミュニティマルシェと菅沼さんがやってるバー・ニュー喫茶幻で発売開始して、9/5は発売記念イベントもあります。

社会問題に絡んでる商品を作ることになるとは思わなかったですし、自分一人ではやらなかったことで、いろんな客観性が入ってきて商品開発でもとても参考になり、すごくいい経験をさせてもらってると思います。

ということで、空き家スイーツの商品開発についてお伝えしました。

ぜひ空き家スイーツのクラウドファンディングのページ(https://motion-gallery.net/projects/akiya_sweets)を覗いてみてください。

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