2022年1月11日、私は株式会社夢見創を設立しました。
2017年3月に個人事業主として開業届を出して以来、5年近く。
法人成りという形で会社を設立するに至りました。
現在、法人化から半年を迎えるタイミングですが、実はまだ「個人→法人」の移行で完了していないものがあります。
そのくらい、法人化するということは面倒なことであり、名義の変更などにも手続きが必要だということだと思います。
今回は、私が法人化するにあたり実際に行ったことを備忘録として記録しておきたいと思います。
特定創業支援等事業による支援
法人設立にあたり、最初に調べたのは法人化の費用について。
会社は合同会社と株式会社に分かれます。
融資などの得られやすさはそれほど変わりませんが、日本では株式会社の知名度が高いこともあり、対法人で事業をやるには株式会社の方が有利だと言われています。
合同会社と株式会社は、設立費用が違います。
すごくざっくりいうと、
合同会社…約6万円
株式会社…約20万円
ほどです。
株式会社設立となると結構かかるな…と思われる方もいるかもしれません。
それをかなり安くする方法があります。
それが「特定創業支援等事業による支援」です。
自分が本店として登記しようとしている地域(区や市)で、特定創業支援事業をやっていれば、会社設立費用が半額ほどに減額されうる可能性があるのです。
私は杉並区を本店として登記したので、杉並区の特定創業支援事業に参加しました。
特定創業支援は全4回、区の創業支援施設などに通うことで完了します。
財政・人事など毎回テーマがあり、その専門家(中小企業診断士の方など)と面談を行います。
4回完了すると、登記の際にかかる設立費用を減額することができるのです。
私は11月の末にそれに気づき、1月の設立のために12月に4回通いました。
原則として週に1回×4回ということになっているらしく、スケジュール的には本当にギリギリでした。
これから特定創業支援を受けられる方は、計画的に余裕を持って受けられることを推奨します。
税理士との契約
個人事業主の時は自分で経理・確定申告を行っていたのですが、法人化するにあたり限界を感じたので税理士さんとの契約をすることにしました。
知り合いの会社経営者の方に紹介してもらいました。
税理士さんも「決算の時期の手続きだけやってくれる」「年間通じてアドバイスをくれる」など多様で、契約方法も多様です。
私は年間通して見ていただける税理士さんにお願いすることにしました。
創業融資
せっかく会社として設立するなら!と思い、このタイミングでしか取れないと思われる創業融資への申込を検討しました。
東京都は、女性・若者・シニア向けの創業融資というものがあります。
これだと金利も低く、保証協会をつけなくても融資が得られるという点が魅力的でした。
(保証協会というのは、物件を借りるときの保証会社と似たようなものです。何らかの理由で返済が滞った場合も、代わりに融資の返済をしてくれます。利用するためには、毎月手数料の支払いが必要です)
ここで一つ、私が初めて気づいたことがありました。
それは、「創業というのは会社設立ではなく、個人事業主として開業届を出した日である」ということ。
そして、女性・若者・シニア創業サポート事業の創業融資は、「開業5年以内」という縛りがありました。
私は2017年3月12日に開業届を出し、2022年1月に会社設立。
ですが、創業融資を受けられるのは2022年3月11日までなのです。
これを知った時、本当に焦りました。
開業届を出す時はあまり考えていませんでしたが、このような形が響いて来るのだなと思いました。
急ピッチでの進行になったので、その旨を融資を担当してくれる信用金庫に相談しながら進めました。
銀行口座開設
これまで持っていた口座は、個人口座と、個人事業主の名義の口座でした。
法人化すると、個人の収支とは完全に分けて法人の収支を考える必要があります。
そのため、法人の口座開設が必須になりました。
上記の創業融資の時点で、創業融資を得るには信用金庫での口座開設がマストになります。
そのため、信用金庫の口座解説は最初から視野に入れていました。
しかし、信用金庫の口座は開設までにだいたい1ヶ月くらいかかります。
経理としても、できるだけ早く全部法人口座に移行したかった私は、信用金庫の口座開設を進めつつ、1〜2週間ほどで開設できるネット銀行を先に開設しました。
楽天銀行や、PayPay銀行に代表されるネット銀行。
ネットバンキングなどの利用も楽なので法人として一つ持っているといいと思います。
(後で知ったことなのですが、信用金庫のネットバンキングは月額費用がかかるところがほとんどでした…)
名義・契約口座の書き換え
これまで個人として契約してきたものは全て名義変更が必要になりました。
料金の引き落とし、売上の振り込みが発生する口座も併せて変更します。
例えば、下記のようなものです。
- 保健所の営業許可書き換え
個人で取得していた営業許可を法人での契約に変えました。
法人にする=別人格にすることなので、営業許可の取得にはもう一度申請費用がかかります。
営業許可の期限が5年あったので、かなりもったいないことをしました。
- 成分表示書き換え
営業許可取得の名義変更に伴い、成分表示の「製造者名」も法人に書き換えました。
- 販売サイトの登録書き換え
私はShopify・楽天・minne・Creemaなどでお菓子を販売していますが、その名義変更が必要でした。
運営主体を会社に書き換えました。
- エアレジの名義変え
エアレジ&エアペイの契約をしていて、クレジットカード端末などを借りている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
私も元々個人事業主として契約していて、端末を契約していました。
しかし、この端末は個人事業主 → 法人 という変更はできません。
法人は全く別の人格という扱いになるので、法人として新しい端末を契約する必要がありました。
その他の書き換えとして
- 電気代
- 水道代
- ガス代
- インターネット契約量
カスタマーセンターに問い合わせをし、名義変更を行いました。口座変更に関しては別途申込書(手書き)が必要でした。
月給を決める
個人事業主は、個人の収入から事業の経費を捻出します。
しかし、法人にすると法人としての収支の中から「代表取締役の自分への給料」を支払うことになります。
法人と代表取締役である自分を完全に分けるということですね。
その給料はもちろん毎月〇〇円という感じで代表取締役である自分が決めます。
この金額は「役員報酬」とも言われます。
年金や健康保険も会社で負担しなければならなくなるので、これまでの個人事業主としての支出よりも支出は格段に増えます。
年金機構と労働基準監督署での手続き
税理士さんに「法人設立したら最初に行ってください」と言われたのがこの2つ。
年金機構はその名の通り年金の支払いです。
社会保険の加入は代表取締役は必須。
役員報酬を決めてから手続きをする必要があります。
労働基準監督署は、一人でも人を雇っていると申請が必要になります。
週に一回のアルバイトでも、雇っていれば申請が必要になります。
(役員である自分一人だと必要ないこともあります)
うちはアルバイトの方が1名いるので申請に行きました。
この申請は会社設立とは関係なく、個人事業主であっても雇っている人がいれば必要になります。
法人化の振り返りまとめ
個人事業主だった私が法人化するに当たってやったことをまとめてみました。
これらの申請は、正直想像していたよりも時間がかかりました。
特に金融機関や水道光熱費の名義変更は申請したらすぐに変更してもらえる訳ではなく、「申請から3ヶ月かかる」といった場合もザラでした。
法人としての決算にあたり、個人名義から法人名義に書き換えることは必要なことだったのでがんばりました。
個人事業主時代に契約していたり築いているものが多いほど、この「書き換え」という作業は必要になると思います。
これから法人化される方にとっては気が遠くなることかも知れませんが、法人としての実態を証明するためには必須のことばかりです。
ぜひ気長に一つ一つこなしていきましょう!