夢見キッチンの製造室を利用している方をお呼びして、今の活動などをインタビューする企画の第2弾!
「KIBI’S BAKE SHOP」を運営する二見さわや歌さんをお呼びしてお話をお伺いしていきます。
今後レンタルキッチンの利用検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
「KIBI’S BAKE SHOP」主宰。
長年独自に「オカメサブレ」の研究と改良を重ねる。
出来上がったサブレをたくさんの人に好きになってほしい!と2020年春にWEBショップをオープン。
同年8月には自身の工房を構え、活動を本格化させる。
現在はWEBショップの他、ときわ台の「本屋イトマイ」、朝霞の「CHIENOWA BOOK STORE」での販売など積極的に活動の幅を広げている。
行商計画中。
音声で聞きたい方はこちら↓
「KIBI’S BAKE SHOP」はオカメサブレを売るために始まった
ーー今日はよろしくお願いします。はじめてお会いしてから実はまだ半年たってないくらいですよね?それなのにすごく昔から知っているような感じで仲良くさせてもらってます。
よろしくお願いします。今年の3月の終わりくらいからですかね?私もそう思います。
ーーさわや歌さんは謎に包まれている方なので、みなさん聞きたいことはたくさんあるかと思いますが、まずはなぜお菓子屋さんになったのか?というお話からお聞きしたいと思います。確か、「お菓子屋さんになりたい」というより、「オカメサブレを売りたい!」という思いで始められたんですよね?
そうですね。オカメサブレはオカメインコを飼っていたことから生まれました。お菓子屋さんなんて全く考えていないころから作っては友人に配って、冗談でこれ売れるよねなんて話していました。それが、今年の頭にふっと売ってみたい!って思って。そのためには何をクリアすればいいんだろうってものすごい勢いで調べて、一つずつクリアしていきました。そうこうしているうちにコロナウイルスが流行り始めてしまって…それならオンラインでやってみようとなりました。
オカメサブレはどんなお菓子?
ーー初めてオカメサブレを作ったのは何年前くらいでしたか?
何年も前ですね。5年どころじゃなくて、うちのオカメインコが12年くらい生きてて、それを考えるともしかしたら一番最初に作ったのは10年くらい前の可能性も…そこまでいかなくてもかなり前です。最初に作った時から材料もあまり変わっていなくて、若干ほっぺがおいしくなったかな(笑)
ーーオカメサブレは鳥の形をした、大きく分厚いサブレです。ほっぺが濃い赤になっていて…食紅でしょうか?
いえ、自然のものを使いたかったので、これは木いちごのパウダーです。簡単なアイシング状態になってます。はじめは薄ピンクだったんですけど、もっとおいしくしようと思って木いちごを手に入れて、試行錯誤したらこっちのほうがシンプルな材料だしおいしいし、これにしようと思って途中で変わりました。
さわや歌さんによる手描きイラストから作られた「KIBI’S BAKE SHOP」ロゴ
ーー今日は「KIBI’S BAKE SHOP」のギフトボックスも持って来ていただいているのですが、このロゴはご自身で描かれたものでしたよね?
私はillustratorとかが全然使えないのですが、自分でペンで画用紙にささっと3パターンくらい描いたら妙によかったんです。もうこれしかない!と思っちゃって。でもこれで箱を作りたいと工房の方に相談したら、誰でもいいから頼んでとにかくデータでくださいと言われました(笑)
結局デザインを仕事にしてる友達が引き受けてくれたのですが、ささっと描いたイラストでもいざデータ化するとなると意外と自分のこだわりが出てきちゃって。「I」はもっと太く!とか「K」のでっぱりが~とか、自分で書いたものを忠実に再現させようとするのに結構お付き合いいただくことになりました。
ーーそれすごくわかります。最初はやってくれる人が見つかってその人に任せようと思うんですけど、上がってくるのを見てちょっと違うって(笑)
自分の手描きと微妙に違くて、きれいに直してくれてるんだろうなと思うんですけど、なんか違うってなって。すごいめんどくさかったと思います(笑)
隅から隅まで自分でやりたい!こだわり満載の商品作り
ーーさわや歌さんは商品作り自体が初めてですよね?お菓子屋さんになるのって、お菓子が作れればいいと思ってやり始めたら、「これも自分で考えなきゃいけないんだ!」というのがたくさん出てきて、私はデザイン系が本当に苦手だからそれが最初の難関で、ロゴとかは完全にお願いしてやりました。
初めてでしたね。私はとにかく全部自分でやることが好きで、箱とかロゴのデザインとか、とにかく小さくてもいいので自分でやったものを世に出したい!といったら大げさなんですけど、そういうことに興味があったのでこんな感じになりました。
ーーギフトボックスを作る時には、ご自身で中板橋の工場を探し当ててきましたよね。
ネットで箱の製作所を検索したら近所にあったんです。メールをして、来ていただければ相談の時間を取りますということだったので、お邪魔しました。最初からこのオカメサブレを持っていって、とにかくこれしかやる気がないので!くらいの勢いでこれ専用の箱を作りたいです、というのを力説しました(笑)
ーー私もちょうど興味があって、打ち合わせに見学という感じで同席させてもらいました。サブレが大きくて割れやすいという問題があって、箱を作るのに中に仕切りを作ってクッションになるように作るというのを激論してて、どの高さがいいかとか数ミリ変えてみるとかをその場で試作を作って繰り返してて、4時間くらいやってましたよね?
結構やりましたね。最初はオカメサブレもサイコロの大きいのみたいな真四角な箱に縦に並べて10枚入れるのでちょうどいいと思ったんですけど、やっぱり開けた時にサブレのほっぺが並んでる方がいいなと思って。また手描きでデザインを書いて送りつけたりして、最初と全然違うじゃんと思われたと思うんですけど(笑)
ーーたしかにひとつサンプルができた時に初めて、あれ?この方法もあるんじゃない?ってアイデアがたくさん出てきたりするんですよね。それで一度思いついてしまったらやらないと気が済まなくなっちゃって…。
そうですね。「作る」ってこんな感じなんだと思いましたね。こんなに途中で全部変わっちゃったりするんだなって思いました。私が全部変えたんですけどね(笑)
夢見キッチンを訪れた理由
ーー初めて夢見キッチンへに見学に来られたのは3月末でしたが、オカメサブレをやろうと思った時に探して見つけてくれたんですか?
最初にお菓子を販売するにあたってというのを色々とクリアしていったら、やっぱり菓子製造業という壁に当たりました。最初から自分で取るというのを考えて保健所に行ったりもしたんですけど、何十万もかかるという話で、いきなりそこからやる勇気がまだなかったんですね。そんな時に友達から最近はレンタルキッチンがあるから調べてみたら?と言われて「東京都 レンタルキッチン」で調べたんです。そうすると夢見キッチンが出てきて、板橋区だし通いやすいかなと思い、ページを見たらいい感じでした。
ーー1年くらい前にふらっと貸しますよって書いて放置してたものですね。まだ今のようにサイトを整備してない状態のときで。
さわや歌さんって下の名前なんですよ。二見さわや歌さん。でも私は連絡頂いてからずっと屋号かなんかだと思っていました(笑)初めてお会いしたときは、すごいかわいいワンピース姿で花束を持って現れたんです。緊急事態宣言がでる直前くらいでしたよね。私のSNSをチェックしてくれて、蓮理さんに会うにはこれかなと思って来ましたって言ってたの、すごく覚えてます(笑)
私も私で、夢見菓子だし夢見キッチンだし、どんな人が私を待ってるんだろうって思ったわけですよ(笑)それであの感じになりました(笑)
ーーすごく素敵な人が来たなと(笑) 実際その時にいろいろ話して、初めて会ったのに3時間くらい話しました。そこからコンスタントに借りてくださって、販売始めますってなったらすごく行動が早いんです。
普段貸し出ししてて、借りたいですってなった人でも2か月くらい連絡なかったりするんです。一回持ち帰って考えて考えて、実際やろうとするといろんな壁があるから結局やらない人もいて、それはよくあることなんですけどね。さわや歌さんはコンスタントに月に2回とか、作って送るっていうサイクルをWEB上で作ってというのがすごく早いなと。SNSの更新もちゃんとやってるし、箱も作るし、という感じで。
私、珍しいタイプだったんですね(笑)
ーーさらにその勢いのまま、断念していた自分の場所を作ることも再開して、8月にはついにご自身の工房ができました!おめでとうございます!夢見キッチンからの独立第一号です!
ありがとうございます。自分の場所があることで、なんかゆっくりやっちゃうのはあるけど…(笑)でもメリットも多いですね。投資したからがんばらなきゃって思ってます!
夢見キッチンを使って良かったこと
ーー私は貸し出すのも目的としてあるんですけど、使ってくれた人がどんどん大きくなって、それぞれが対等にいろんな企画ができるようになったり、今度このイベント一緒に出店しましょうとか、そういうことができるようになるようなゆるやかなチームみたいなのを理想にしています。ここを使わなくなったとしても、ここが記憶に残って一緒に何かやろうと思えるような関係性を最初に体現してくれてるのがさわや歌さんだなというイメージです。キノネの晴子さんとも3人で会った時に刺激的で、それぞれ独立してやりたいことも少しずつ違って、でもどこかでは繋がれる。そういう人たちと一緒にいれたらいろんなことが楽しくなるような気がします。
それが一番夢見キッチンを使ってよかったことで、いきなり一人ではじめたらこんなに輪ができないです。この夢見キッチンを使ったステップがあったから今がすごく広げられていて、いきなり一人ではじめなくてよかったです。
ーーそれは良かった…!コロナでなかったらもっといろんな交流会とかをやりたかったんですが、そういうのがまたできるようになっていくといいなと思います。
次の目標「行商」に向けて着々と準備中!
ーー自分の工房ができて、WEBショップだけでなく、ときわ台の「本屋イトマイ」、朝霞の「CHIENOWA BOOK STORE」での委託販売も始められたんですよね。その2箇所ではリアルでオカメサブレが購入できて、お客さんにも好評を得ていると聞いています。この次にやりたいこと、目標などがあれば教えてください!
コロナでできなかったんですけど、もともとオカメサブレは道端で売るイメージがすごくあって。オカメサブレをお盆に乗せた私がどこかの街角に立ってて「オカメサブレはいらんかね?」と人々に声をかけている姿が頭から離れなくなった時期があるんです(笑)それをそろそ始めたいです。行商ですね。それ用のお盆も発注しました。すごく探して、首から下げる「番重(ばんじゅう)」って言うそうなんですけど。
ーーあ~あの駅弁売りの!
自分で作ろうかなとも思ったんですが、そういう時は外に頼るのがいいと思って。そういえば素敵な家具屋さんを知ってる!と思ってお菓子の写真と一緒にメールして、そしたら引き受けていただけました。今デザインしていただいてる途中で、松本で工房を構えてる、すごく素敵な家具を作るご夫婦にお願いしました。
ーーすごい。それができたら行商に行くと。
あなたの街にいるかも(笑)
これまでもこれからも、「とにかくやってみる」を大切に
ーーやっぱりお店をやりたい人という人にお会いすると、思った瞬間にやるタイプの人と、すごい遅い人っていますね。それぞれのいいところもありますが。私はけっこうすぐやるタイプでじっとしてられない。さわや歌さんもだいぶ早いなと思います。
そうですね。もうお菓子を売ることは始めちゃったわけだし、ここからは一回やってダメだったら辞めればいいじゃない、みたいな気分はありますね。そんなにたいしたことをするわけじゃないから、やってみればいいじゃないと。
ーー私は会社員の時は失敗するのが嫌で、何かやろうかなと思ってからやるまでに何年もかかるって普通だったんですけど、辞めてから失敗を失敗と思わなくなったような感じがします。そういう経験だったなという風に思えるようになってから、じゃあやったほうが早いなという風に考えられるようになった気がします。
そうですね。昔は考えてなかったかもしれないけど、いまはとりあえずやってみたらいいかなと思います。
ーー自分一人でやってると結局正解がないから、誰も背中を押してくれないし、どこにも枠組みがないからとりあえずやって、あ、これは通った、売れたみたいなのを積み重ねられるかどうかだと思います。手数を稼ぐタイプ(笑)
そうそう、お菓子作りなんか本当に頭で考えてもわからないことばっかりです。100枚、200枚って焼いたらわかったみたいなことがたくさんある。ただ単に数を重ねることでしかわからないみたいな。そういうのがあるから頭も使うけど、手も使おうみたいな。
ーー知らない間に手を動かしてるうちにわかることってあるんだと思います。私は昔からパティシエだったというタイプではなくて、急に始めてるから技術的な自信がずっとなかったんです。でも、いざ人にやってることを伝えようとなった時に、年月が経てば経つほど、プロのそれとは違うかもしれないけど、自分なりの譲れないものがたくさんできてることに気づきました。そういう意味では私もちゃんとプロになってたんだなって(笑)
「自分で仕事を作る面白さ」を感じながら、「オカメサブレ」を作っていく
ーー私は今でも注文が入ってお菓子を作っている時に、「これ仕事なんだ、不思議だな」って思うことがあります(笑)
私がそれを一番思う瞬間はほっぺを描いてる瞬間(笑) ほっぺ描きながらこれを仕事にしようとしてるんだって(笑)
ーー不思議ですよね。昔からものを作ってた人とは違う点というか。仕事をもらうものだと思ってやっていた時期があったから、余計に「あれ、これ仕事か?」みたいな(笑)
蓮理さんと私はやってたことは違うけどなんか似てる気がするんですよね。自分で仕事を作ることにすごく興味がある。実は作ったものを売るっていうのはお菓子以前にもやったことがあるんです。若いときは帽子をいっぱい作って展示販売して、そのお金で旅行に行くとかしていました。今は自分で作ったものを売って、なんなら仕事も自分で作りたいみたいな感覚になってます。そこで蓮理さんと話が合うんだなと思います。
ーー確かに。何か面白いことしたいなと思っていて、その状態で人に会ったり話していると現実になる。キッチンの貸し出しを始めてから本当にそういうものなんだなと思うようになりました。
なるほど。
ーー長らくお付き合い頂きましたが、最後に伝えておきたいことはありますか?
オカメサブレを売ることをしたくて始めたので、オカメサブレしか売ってないんですが、オカメサブレは世界一おいしく作ってる自信があります。ぜひ一枚食べてみてください!
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