【夢見キッチンの人々#9】こめねこlab. 西田留弥さん
夢見キッチンの利用者さんに今の活動などをインタビューする企画の第9弾!
今回は、教室運営の傍らマルシェ販売のために夢見キッチンを利用いただいていた「こめねこlab.」西田留弥さんにお話をお伺いしました。現在は笹塚でご自身の教室兼店舗を運営されております。
今後レンタルキッチンのご利用を検討されている方、ご自身でお店をやりたい夢のある方はぜひ参考にしてみてください。
京都の寺に生まれる。子育ての傍ら、15年間にわたり大学の理学部で助手を務め、科学的な知識を養う。
夫の遺志を胸に、3児の母として子供たちの個性を尊重しながら、それぞれの興味を伸ばす子育てを実践。
長女: 一級建築士
長男: 整形外科医
次女: カリフォルニア州立大学、ジョンズホプキンズ大学院を共に首席卒業
子育てがひと段落してから、長年の講師や母としての経験に加え、25年以上にわったって実践してきたナチュラルフードライフの学びを活かしクッキング/セルフケア教室を開講。
現在までに、300回のべ2000人以上の生徒さんにオーガニックやアレルギー対応、精進料理等の講座を開催。
2025年7月に、パン作りが初めての方にも、簡単、美味しい、身体が喜ぶ“手づくりのお米パンとおやつ“をシェアするため、こめねこlab.を開店。
https://lapis-west.wixsite.com/komenekolab
https://www.instagram.com/komenekolab_rumi/
グルテンフリー、卵・乳製品 不使用 生米パン販売&レッスンスタジオ「こめねこlab.」

山本:今日はよろしくお願いします!
西田:よろしくお願いします。
山本:まずは、お店の紹介をお願いします。
西田:はい。「こめねこlab.」という生米パンのお店をやっています。教室運営、シェアキッチンでの販売を経て去年の7月に笹塚に店舗をオープンしました。材料にもこだわっていて無農薬・有機を使用しております。極力、添加物も使わないようにしております。
山本:「夢見マルシェ」を開催している笹塚駅からも近くて、私もよく通りがかります。
西田:お店として生米パンを販売しているのは月4回ほどで、教室としても活用しています。
住所:東京都渋谷区笹塚1-58-9 1F
アクセス:京王線笹塚駅徒歩2分
営業時間:不定期 Instagramにてご確認ください
大学助手、さまざまな教室運営を経て生米パンに出会う

山本:まず、どうして生米パンを作るようになったかをお聞きしたいです。
西田:元々は大学の理学部で助手をやっていました。結婚して嫁いだ先が食事にこだわりがある家で、その関係でさまざまな教室に習いに行ったり自分でも勉強するようになりました。
山本:結婚が一つの転機になったのですね。
西田:はい。それで、のちに主人が亡くなってから自分の教室を始めました。最初はヴィーガン料理や、マクロビ歴30年の経験を活かした教室などを個人でやっていました。
私自身は生物学出身なのと、大学で助手をやっていたりもしたので、論理的な解説も人気があって喜んでもらえました。
山本:確かに、ただ作るのではなく「なぜ」を解説してくれる教室だったらもっと興味が湧きそうですね。
西田:生米パンに出会ったのは、ヴィーガン料理について勉強しているときでした。私は子供が3人いますが、長女が牛乳アレルギー、次女も食事に気を遣う子でした。
長女が子供の頃、35年くらい前はまだアトピーなども知名度が低かったこともあり、人一倍食事に気をつけるようになりました。
山本:娘さんは私と同じくらいの歳ですね。確かにあの頃は今ほどアレルギーについての理解もされていなかった気がします。
西田:そうなんです。そんな中、次女は中学時代から食べ物に気を使い出して、魚も食べない、お肉の脂身を外して食べちゃうような子で、牛乳も嫌いでした。
山本:動物性のものを摂らない方だったんですね。
西田:ヴィーガンの勉強をするようになったのはその頃からです。当時は、外食するにはヴィーガンのお店が少なかったのもあり自分で作るようになりました。
また、ヴィーガンの食事を応援できるように、食事会をしたり教室をやったりしていました。自分でも習いに行ける機会があれば参加していて、その中で生米パンを知ったんです。
米粉とは違う、生米パンの魅力

山本:最近はグルテンフリーのお菓子というのは昔よりよく知られていて、夢見キッチンでも特に米粉を使ったスイーツを製造される方は増えています。でも、「生米」を使ったパンやスイーツというのは、私は西田さんに会って初めて知りました。
西田:そうですね。米粉スイーツはすでに粉になっているものを使いますが、生米パン・スイーツは生のお米を浸水させて作ります。最初は私も米粉のパン・スイーツを習ったりもしていましたが、米粉だとスイーツは美味しくできるのですが、パンは納得できるものがなかったんです。
山本:確かに、米粉には向き不向きがありますね。
西田:米粉は粉にするときに粒自体に水分が含みにくくなってしまうので、パサパサになります。なので米粉だけでなく他の粉を混ぜたりする必要があったりするんですよね。米粉で作ったものは一度冷凍して解凍するとフワッとしたりするので、食べるなら一度冷凍した方がいいですね。
山本:なるほど。米粉の特性があるんですね。一方、生米で作ると最初からふわふわですね。
西田:はい。生米パンに最初出会った時は衝撃を受けました。常温で置いておけるし、何より美味しい。
山本:私も初めて食べたときはびっくりしました。「こんな感じになるんだ!」って。小麦のパンよりももっちりしていて、トーストしたらカリッとして、他の具材にも合う。食べる前はバターとかジャムとか合わないんじゃないかと思っていたので、それもびっくりしました。
西田:和の惣菜にも合うんですよ。この間カレーパンを出したら「これってお米とカレーだから、カレーライスじゃない!」と言われましたけど(笑)
うちで販売するものは、変わったバリエーションを作るようにしているんです。カレーパンの具もヴィーガンでも食べれるようにレンズ豆を使ったりしています。
教室を通して広がる「生米パン」の認知

山本:生米パンに出会い、魅力を知って、今度はご自身で教室をやるようになったのですね。
西田:はい。ヴィーガンの方や、アレルギーの方も多いので、「生米パン」を広めていきたいと思いました。
山本:生米パンについて私も少し勉強したのですが、ヴィーガン料理研究家 リト史織先生が考案されたものなんですね。西田さんの教室もリト史織先生のレシピを教えていらっしゃるのでしょうか?
西田:そうです。リト史織先生のもとで、私は初期からインストラクターとしてやってきました。私の教室では、3コースあってそれぞれが全3回で終わる、簡単なコースになっています。
山本:生米の教室は珍しいですよね。
西田:はい。でも最近は少しずつ増えています。リト史織先生のレシピは、先生がもともとヴィーガンであることから、ベーコンエピみたいな動物性のものを使ったものはなかったりします。そういったバリエーションのあるレシピを用いて教室を作る方も増えていて、爆発的に人気がある教室もあるんですよ。シフォンケーキも、ヴィーガンだと豆乳などを使って卵は使いませんが、卵を使ってふわっとさせるものを作っていたり。
山本:生米の中でもバリエーションが増えているんですね。西田さんの教室に来られる方は、どんな方が多いですか?
西田:「食べて美味しかったから」「生米から作ることに興味があるから」という方が多いですね。あと、インストラクターになりたい人も多いですね。
山本:生米の認知度は確実にアップしているような気がします。
西田:そうですね、教室は増えています。でも、専門店で販売されているところはまだまだ少なかったりしますね。
マルシェ初出店に向けての製造は、家と夢見キッチンを3往復して機材持ち込み

山本:西田さんはずっとご自身のお家で教室をされていたんですよね。販売を始めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
西田:やはり、教室だけだと広がらないからですね。もっと生米パンを知ってほしくて、マルシェなども出店しようと思ったのが最初のきっかけです。
山本:その時に、菓子製造業の営業許可のあるキッチンが必要で、夢見キッチンを見つけてくださったのですね。
西田:そうです。家からとても近かったのもあり、夢見キッチンを利用することにしました。
山本:初めてご利用いただいた日に、たまたま荷物を運ばれているところを見かけたのですが、オーブンも運んでこられてましたね。
西田:オーブンはコンベクションで、中で風が止まるものが必要で持ち込ませていただきました。生米パンを焼くとき、型に入れると油を塗れないので、風の出るオーブンだと表面がガビガビになってしまうんです。成型パンなら全体に油を塗れるので普通のオーブンもできるんですが…。
山本:そういった事情があったんですね。初めてご利用いただいたときは、確か笹塚の夢見マルシェに出店いただくためでしたね。
西田:そうですね。荷物が多くて、台車と大きなスーツケースで家とキッチンを3往復くらいしました。夜から借りて、朝に袋詰めして…大変でした。
山本:記憶に残っているのですが、初出店の日はすごいお客さんでしたね。私も買いたかったのですが、どんどん売れていて、もう売り切れになりそう…というところでギリギリ、ラスト2個くらいを買わせてもらいました。
西田:あの時はまだコロナ禍でしたね。料理教室などの仲間がみんな来てくれました。
山本:まだ初めて生米パンを知った頃だったので、こんなに人気があることに驚きました。
西田:そうなんですが、1回目の勢いで2回目の出店のときにマフィンをたくさん出したら売れ残ってしまって。レッスンでは人気で、売れると思って持って行ったので衝撃的でした。
たくさんの方に「パンはないんですか?」と聞かれたりして。
山本:これは販売の難しさかも知れませんね。みなさんパンがいいんでしょうか?やっぱり主食なので求められるのかもしれませんね。
西田:グルテンフリーのパンってなかなかないですからね。アレルギーの人が増えているので、お子さん、お孫さんのために買いに来られる方も多いです。卵・乳・小麦にもアレルギーあるお孫さんがとても喜んで食べてくれたとコメントいただいたこともありました。
山本:その子にとっては夢のような話ですよね。
西田:外食でピザ、麺類なども食べれない、揚げ物も衣に使っていて食べれないとかで大変なようです。そういった方から喜びの言葉をいただくと嬉しいですね。
夢見マルシェの出店を経て、自分の工房を持つまで

山本:マルシェの出店を経て、2025年7月にご自身の店舗をオーブンされていますが、「自分の店舗を持とう」と思ったのはいつからだったのでしょうか?
西田:夢見マルシェに2回出店したあとですね。「生米パン」を広めたいという思いがより強くなりました。広めるにはとにかく食べてもらわないといけないから、コンスタントに販売できる場所を作りたいと思いました。
山本:出店2回目で!さすが、決断が早いです。夢見マルシェが次のステップに進むきっかけになっていたとは、嬉しいです。
西田:夢見キッチンは使い勝手のいいキッチンでしたが、やはり道具や材料を持っていくのが本当に大変で。オーブン、バイタミクスに、お米もあって、出来上がったものも重いんです。
山本:確かにずっしりしていますね。
西田:また、アレルギーがある人はコンタミ(コンタミネーション:他の材料などの混入)についても慎重なので、小麦を持ち込まない工房が欲しいと思っていました。そうなると一から作るしかなくて、物件を探すことにしました。
山本:確かにシェアキッチンではコンタミの問題はなかなか払拭しづらいものがあります。ご自身のお客さんを思った判断ですね。
最初に工房をつくろうと思ってから実際にできるまでどのくらいかかりましたか?
西田:物件を探し始めたのは2024年になった頃ですね。主人が亡くなったときに、テナント管理会社を引き継いでいたのですが、ちょうど2023年末に会社を辞めて退職したんです。そのタイミングで、笹塚あたりで少しずつ物件を見始めました。
山本:笹塚は人気エリアなので物件探しは大変そうですね。
西田:そうですね。今の物件は2024年の冬に見つけました。夏くらいから空いたのは気づいていたのですが、大々的に入居者を募集はしていないくて、その割にはいい場所なのに埋まらなくて気になっていたんです。
あとで知ったのですが、上に大家さんが住んでいて条件が厳しくて、問い合わせはあってもなかなかOKが出なかったみたいです。不動産屋のネットワークで内々に物件情報が出ていたのか、空き物件の看板なども出ていませんでした。
それが、急に12月の終わり頃に空き物件の看板が出て。それを見て年明けに不動産屋に駆け込みましたね。
「厳しい」と言われていた大家さんの条件というのが、飲食だったら油を使わない、遅くまで営業しないなどだったのですが、うちはパン屋さんだったのでOKが出ました。
山本:奇跡の巡り合わせですね。
西田:笹塚にしては広さもあって、家賃も少し安めでした。退職金もあったので借り入れなどはなしで始めることができました。
「小麦が食べれないから」ではなく、「生米パンが美味しいから食べたい!」という人を増やしたい

山本:実際に物件を借りられてからもう一年経ちましたが、どうですか?
西田:やはり、そこに行くといつでもパンを焼ける状態になっているので、楽になりました。家だと食事のものとかもあって片付けがあったり猫がいたりするので、いろいろと手間がかかって。
山本:教室はご自宅でされていたので、専用の場所があると使い勝手が違いますよね。今、店舗は教室兼販売で利用されていると思いますが、販売はどのくらいのペースでされていますか?
西田:販売は不定期で月に4回ほどやっています。販売は天気などにもよるので集客の調整は難しいですね。
山本:これからの目標はありますか?
西田:もう少し販売日数を増やして、もっと生米パンを売れるようにしたいですね。今のままだと販売日数を増やしてもロスが出てしまいそうなので、認知度もアップさせたいです。有名な方が気付いて買いに来てくれればと思うのですが(笑)
山本:確かに(笑)知名度を上げるのは難しいですよね。お客様はやはり、小麦のアレルギーの方などが多いのでしょうか?
西田:アレルギーの方もいらっしゃいますが、私は美味しいのでみんなに食べて欲しいと思っています。
山本:なるほど。「小麦が食べれないから」ではなく、「生米パンが美味しいから食べたい!」といってもらえるお店にしたいんですね!小麦の代替として考えてしまいがちですが、とにかく美味しいから食べて欲しい!という思いがあるんですね。
西田:そうなんです。そして、そういうパン屋さんも増やしたいので、これからはお店をやりたい人向けの講座もやっていきたいと思っています。
これから始める人へのメッセージ:常に「誰に渡したいか?」を考えて

山本:これから自分の商品を販売したい・いつかお店を持ちたいという方にメッセージをいただけますか?
西田:はい。私は常に「誰に渡したいか?」を考えて、販売や教室をすることが大事だと思っています。それを忘れると独りよがりになりがちになってしまいますよね。
これは、次のステップに行くときにもずっと大事なことだと思います。
山本:最初に「このお菓子を、パンを作って誰かに食べて欲しい」と思った気持ちを忘れないことが大事なんですね。
西田:誰かに渡したいから材料に気を使ったり、見た目を可愛くしようと考えたりするのだと思います。この思いを忘れずに、大事にしていってもらえるといいのかなと思っています。
山本:西田さんはもともとご家族への想いがあって、そこから広がって教室、販売へとつながっていきました。初心を忘れていないからこそ、いつも行動的で美味しいものを届けるエネルギーに溢れているんですね。素敵なメッセージをありがとうございました!




